第三回【なんでしょう句会】投句一覧

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〇お題1 おでん
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1 はんぺんはおでんにいれちゃいけないの
2 さまざまにくち開けしむるおでんかな
3 生き延びてあたためなおすおでんかな
4 深宇宙サービスエリアのおでんかな
無効句 鍋カレー鍋カレー食べ一週間
6 おでんには甘い具ないよと姪に言い
7 先生のおでんはおやつに入りません
8 丸いものばかりのおでん生返事
9 おでんアリしばらく帰りません母
10 とりあえずビールおでんは大根を
11 熟慮しておでんの煮える音しづか
12 酒尽きてちくわぶ残るおでん鍋
13 おでんだしからしいろまじりあひし黄身
14 汁のみの四日目おでんにうどん入れ
15 三日目のおでんのつゆや午後三時
16 おでん屋の女将こひしや濡れた足
17 鍋の底おでん微かに揺れ鳥目
18 おでん食べからし付けぬと口喧嘩
19 悪童の笑み晴れ晴れと串おでん
20 街あるきおでんも缶にはいりけり
21 余所見するしゃらくさいおでん冷えはじむ
22 風船やおでんが嫌いになる魔法
23 21世紀はトマトおでんになりにけり
24 おでん鍋とろりと笑うトマトかな
25 ほしいまま白とグレーをおでん鍋
26 袋あけてぼとりぼとりのおでんかな
27 此頃は囲まずに食ふおでん鍋
28 おでん屋のいっときふれるミワロック
29 おでん汁すするとき目を閉じる君
30 おでんなら大根ふつうの君がすき
31 ラジカン閉館おでん缶開缶す
32 あつあつの おでんをみやげに 急ぎ足
33 郷の味、語り合いつつ減るおでん
34 夢に来し菩薩黙つて食ふおでん
35 父さんの無罪判決おでん食ふ
36 橋の下半紙の釣りでおでんかな
37 おでん鍋湯気の向こう握り箸
38 牛すじをおでんに入れて三年目
39 オリオンも子犬も集うおでん鍋
40 おでんになる前の大根も好きでした
41 透きとおる汁はとなりのおでんなり
42 問いかけの染みるおでんの白を切る
43 麦酒箸ツナ片付けりおでん噛む
44 戦前やおでんの種の浮き沈み
45 おでんこぼしおんなこぼれる夜の手前
46 スパートは おでんに賭ける 3キロ減
47 おでん炊く冷えきるまでに好きと言へ
48 おでんかよおかずにならねえ茶飯炊け
49 おでんたち味染み待ってたらもうない
50 わたしこのおでんみたいなかて黙れ
51 こっそりとおでん占いしてたんよ
52 玉子だけそういうおでんかそうなのか
53 帰宅して好物のないおでん鍋
54 おでん食べたい君に会いたくなくない
55 まるさんかくしかくがやがやおでんかな
56 おでんなんかかくれんぼにもなりゃしない
57 ひら天に歯型楽しや初おでん
58 金貸しのおでんちくわぶばかりなり
59 おでん屋が密かに橋を踏んで去る
60 くつくつと温泉つかるおでんかな
61 おでん屋で同伴出勤たまご食ふ
62 おでんだろ君どこからか嗅ぎつけて
63 深海に潜むものなりおでん鍋
64 円卓のぐるりおでんを要とす

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〇お題2 分
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65 ぼた雪やベッドですする三分粥
66 節分の鬼九分九厘白樺派
67 分かち合う想い根雪のごとくなり
68 分銅の震え収むや寅彦忌
69 各人の分岐綾なし今日が来る
70 一分も保たずに果てり閏月
71 15分岸和田言葉流れけり
72 寒空や渋谷へ響く四分休符
73 肉まんを半分に割る美術室
74 冬空に見送る影はふたり分
75 小春日や分厚いトーストゆびで押す
76 弟の分度器すこし春めけり
77 分からない式解く君の指だけ見
78 分度器に三角定規かさね雪
79 言い分のありてシンクに白き葱
80 分度器もち測るものなし初時雨
81 分度器に傷のいろいろ春近し
82 分けられた版の重なり冬いちご
83 牡蠣を割る分厚き唇の男
84 言い分があるならば聞く玉子酒
85 ストーブの音分銅の薄きかな
86 砂嵐黙って蜜柑の小房分け
87 分銅を載せたら君と釣り合うか
88 より分けて歳の数だけ豆たべる
89 4分の7拍子なる卒業歌
90 鼻風邪を分度器使ってはかられり
91 三姉妹ケーキ見事に分割す
92 五分五分と言い張りこするみずっぱな
93 凍月や切り分けられてゆく私
94 分け前は二の次ダクト行く霜夜
95 分別をなくして泣きたし冬の空
96 半分こ 君が多めが ふたりのルール
97 水分子みたいなソファで待たされる
98 初雪や今晩分電盤本番
99 分水嶺気づかぬうちに過ぎにけり
100 コミッション四分ノ一矜持込み
101 雨ひと日湯呑みに分けし卵酒
102 乳かたき子の言い分を聞く凍夜
103 空風やヒヨコ分け終え小便す
104 分銅に指紋の脂何グラム
105 聞き分けの無い女指に皸
106 分子には雪分母には富山湾
107 崖っぷち俺とおまえと60分
108 新巻の分際でちと頭が高い
109 蝋梅を作り物と言う分からず屋
110 3分でできる人いるのその料理
111 節分に米寿以上に子らは食べ
112 大寒や分母三百六十六
113 分銅のむんずと凍てて1グラム
114 五分五分の決着つける空っ風
115 分度器で測る行く末卒業
116 体温を分け合い眠る猫と我
117 分けないであなたが持っていて浅蜊
118 終電を逃し手袋分かち行く
119 猫の腹分相応に撫でて良し
120 飛ばぬ鳩ここが進化の分かれ目か
121 分銅を右側へ足す冬の暮
無効句 八時五分旦那好きなの?ひきわり納豆
無効句 炊き出しの雑炊分かつ仮設前
124 春待ちて繋いだ手解く分岐点
125 地吹雪や卵とバター分裂す
126 寸分もたがわぬひとね前世から
127 手袋を分かち歩みの合ひにけり
128 分が悪い せめてチークで 華やぎを
129 高分子吸水体や雪明り

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〇お題3 文庫しばり
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130 歩きそうな文庫の上の小石かな
131 テレピンを足して冬晴れ灯台へ
132 きのうから轢かれっぱなしボッコちゃん
133 中指の爪ほどの小口開きたり
134 仰向けで蒲団かぶって読める本
135 どうせなら文庫貫く弾丸で
136 雪晴れやボックス席に伏す「大地」
137 なだれ落つ文庫本踏む去年三月
138 探偵をあつめて妖し創元社
139 冬電車京極夏彦取り落とす
140 読んでから見るか見てから読むか雪
141 初笑ひ文庫の帯に何も彼も
142 吊革と眉とスピンゆれて雪国
143 朝焚火彼の文庫本燃えろ燃えろ
144 トルストイ冬の長夜になえて閉じ
145 底冷えの腑や美しいアナベル・リイ
146 春まだき8行分を乗り過ごす
147 初不動見違える娘の手にカフカ
148 電車混み文庫を拾う見知らぬ手
149 早1年鞄の主の文庫本
150 寒中の葉書文庫本の重さ
151 つづき待つグリーンマイルの6ヶ月
152 一面の菜の花畑レクラムの表紙
153 色褪せて それでも棄てれぬ 文庫本
154 母からの 手紙がわりの 文庫本
155 ポケットのポルノ小説どぢやう掘る
156 漱石を供に倫敦冬鴉
157 茶けた背の青背読みけり黒ジャンパー
158 感冒や指栞して廁まで
159 狐火や胸の谷間に『罪と罰
160 初雪は安吾を買って出れば止む
161 レモンエロウ題名ままの表紙かな
162 手のうちにしなる表紙やわが睦月
163 終電車コートのポケットには「こころ」
164 ケツポケにあるは安吾か探梅行
165 文庫本革ジャン着せて旅支度
166 寄せ鍋や父の文庫の小さき字
167 うたたねの文庫枕に春近し
168 なつのひかり80ページのような笑い
無効句 ななななな四十七の三を買う
170 書棚にて太宰の隣にエロマンガ
171 雪明かりベンチで凍っている文庫
172 さらば夏の光よ棚の奥にさす
173 我が輩も猫であればとこたつにて
174 新潮が並んだあたり爪研ぎ場
175 上巻を入れて下巻を出す鞄
176 光文社古典新訳文庫かな
177 先生とハヤカワ貸し合う冬休み
178 花柄の書皮掛けられし蟹工船
179 外は雪ハードカヴァーの文庫本
180 君の名をちくまの月に問う寒暮
181 ラノベだと僕の顔見て決めつけて
182 大寒や湯沸き漱石指しおり
183 本読まぬ母の三冊細雪
184 死ぬことと見つけたりなむ杢ノ助
185 山眠る猫は文庫を枕にし
186 休日の創元推理文庫かな
187 「自炊」するキミにはあの日の『キッチン』を
188 鏡文字細雪かしら夜の車窓
189 文庫本伏して凍蝶動かざる
190 薄紙の文栞まで数頁
191 『ての小説』、と話すお方と新年会
192 長風呂やふやけて厚い富士日記
193 文庫持ってロマンスカーで行きましょか