【7.6 アッテスル吟ブラ】

1.よく動くターレに立ちて梅雨の晴
2.七の字が丸に囲まれてをり夏
3.夜を待つ夜に金魚が泳ぐとして
4.一千一秒物語想う夏の月
5.夏の海あの子が金星あげたって
6.冷汁やひさしの長き街にいて
7.日盛りに市場は暗し水撒かれ
8.業務用冷蔵庫あり珈琲店
9.ショーウィンドウ大きく磨く盛夏かな
10.鳳凰もやぐらで休む夏芝居
11.ハにひらく勝鬨橋や金魚草
12.金柵のビックリマンシール焦げている
13.立ち乗りのターレを追いし南風
14.夏深しこの富士壺は食べるもの
15.くぐるよりまだぐが近し茅の輪かな
16.あいがけを頼みし男夏のシャツ
17.フォークリフトの後輪曲がり夏燕
18.枇杷かぞえたる人のいて枇杷におう
19.夏旺ん場内にも本屋あり
20.勝鬨橋往還ののち夏閉じぬ
21.つつしんでメロン賜る手つきかな
22.写生画を描く人のゐて小暑かな
23.蝿のいて値札と魚おびただしい
24.スパイスも香る市場やラムネ飲む
25.パラソルや出奔の夢見ていたり
26.梅雨明けて勝鬨橋は閉じたまま
27.新聞社がんセンターと魚市場
28.梅雨明ける華僑のすねがつるつるで
29.ターレーの荷台で眠る裸かな
30.香焚くや二週間後の盆踊り
31.君を撮る我を撮る君七日市
32.泡の中己が巳になりし夏の市
33.日傘似合う金三角の悪事かな
34.マイティカーギアは三段道灼かれ
35.梅雨明けのまぐろの金ごまの塩気
36.金文字の乾物店や夏の雲
37.市中市場塀に囲われたる夏野
38.勝どき橋渡たりて空を飛ぶ気分
39.片蔭や欠けた発泡スチロール
40.七夕や金の指輪をまわし取る
41.金襴をのけて昼寝す釈迦と獅子
42.疚しさや小さな金の鱗とり
43.汗の香や胴長まとふむすめごの
44.この鮎も魚梁で獲ったのかも知らん
45.足元を走るホタルナ生ビール
46.髪油びつたりつけて夏男
47.アスファルト灼ける匂いは「知っている」
48.海苔缶に女店主の乗り炎暑
49.ねえマスターこちらの金魚キロいくら
50.外壁の金魚空へと喘ぎをり
51.梅雨明けて金の持ち手のずらり並ぶ
52.人皆立つ夏の市場の掟では
53.玉子焼みなななめなり夏祭
54.日盛金継ぎ茶わん三百円
55.ターレットトラック軋み油照
56.炎昼やコーヒー樽の蒸れゆきて
57.短冊の少ない笹も揺れる午後
58.反射光金魚の柄のワンピース
59.鉄製の自転車並ぶ暑さかな
60.日の盛こちらもすでに店仕舞い


【アッテスル句会 吟ブラ結果】
 一席 黒22
 二席 森17
 三席 友10

 参加者:森噛朧黒栗る友助炭雪酒眠鶴子凡

 まとめ http://togetter.com/li/516065