第四回【なんでしょう句会】縞評 壱

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65 二本から縞と云うなら空に縞    白豆 (白)
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丼○【65評】飛行機雲かなと思ったら、石川啄木の「飛行機」という詩を思い出してしまい、気がつくと丸をつけてました。負けた。

百○【65評】縞の「定義」を述べている時点で選ばざるを得なかった。その発想はなかったもの。そして確かにそうだと思ったもの。

珍◎【65評】「縞」句をざっと見て、本句だけちょっと趣向が異なっていて、でも形が素直で収まりがよく、うまいなと。飛行機雲か電線かな。こんなの作りたかったという嫉妬も込めて特選に。

科◎【65評】爽やか! 描写している光景も爽やかだし、見た目(字面)も爽やか。「言う」じゃなく「云う」なのも爽やか。上五中七が理屈で下五が実際の光景という構成も良い。下五まで読んでぱっと軽やかな気持ちになった。

栗○【65評】縞の定義とは、盲点をつかれた感じ!空の二本線という、スッキリした絵もこれぞストライプの真骨頂。(ちなみに、Perfumeの歌、いつも「ストライプー、どきどきするー」と空耳しちゃうんだよ)

朧○【65評】まずは他人が言ったふうに「二本から縞と云うなら」として、景色を語るのがすばらしいセンス。自分も人のせいにしたふりで一句つくりたい。

黒○【65評】本当、そうだね!と思った。飛行機雲も高層ビルも、空にはたくさんの縞が描かれている。スパッとした切り口が好き。

舘○【65評】そうだよ!空にあるよ!選評時によく書くが、こういう日常をきちんと句に出来る才能がすごい。参りました。

子○【65評】そう!と思った。ある!と。縞とはなにかという定義の話をしつつ、空の冴え渡った気持ちよさを表していていい。

芽選外【65評】瞬間的に飛行機雲だと判断してしまい、そうなると縞(複数の直線)というより「螺旋」では…と変にこだわってしまって取れませんでした。

蓬◎【65評】ふつうの文章なら冗長であるだけの上五中七は、飛行機雲を見上げて無心に「縞」と思った人の「…って言っていいかな?」と自問する時間を描きだしてると思った。空は見上げたまま。と思える音の気持ちよさで特選。

幹○【65評】誰かに確認している出だしの奥ゆかしさにグッと来ました。無季でも十分力がある。

廣選外【65評】飛行機雲か……わからなかつた。でもふたつある「縞」はひとつでいけるのではないでせうか。

千◎【65評】この文字数で、縞そのものの定義にまで言及できるのはすごいと思った。青空も情景として浮かぶし。発見があり、気持ちのいい句。

雪x【65評】二本は縞じゃない! と(根拠もないのに)思わず逆選をつけました...。「云うなら」ときちんと断ってくれたのにも関わらず...。逆選をつけた側が狭量でした、ごめんなさい。

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66 縞縞に轢かれ漫画のやうな恋    ちゅう (ち)
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廣○【66評】「漫画のやうな恋」がよかつた。曲がり角でぶつかつて、トーストくわへたまま轢かれちやつたんですね。

白x【66評】漫画のような恋、って、いろいろ定型があると思うけど、縞縞にに轢かれるような漫画と違う漫画じゃない? 脳内の漫画が統一できなかったので…。

数選外【66評】「惹かれ」の間違いでは?とも思ったり。「轢かれ」だとどういう状況なのかわからないです。「惹かれ」なら可愛い句なのに…

光○【66評】少年誌のギャグ漫画かな、はは、とちょっと笑えたので。

飼○【66評】「角を曲がるとパンを咥えた女の子とぶつかり恋が始まる」代わりに「自転車に乗ったボーダーTの女の子に轢かれて恋が始まる」んですね。堂々とした嘘が気に入りました。

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67 粋な縞オカピに逢いに行く彼岸    有理数 (数)
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ふx【67評】個人的に、オカピの柄を粋だと思えないのでごめんなさい…。シマウマならよかったのかなあ。

地◎【67評】粋な縞のオカピ、タイツみたいですね。これが粋かどうかは疑問だけど、多数のシマウマ・オカピ句の中でこれが一番しっくりきたので◎。

友○【67評】粋って言っちゃうとハードルが上がるとか、彼岸を句にするにはちょっと早いかなとか、彼岸が季題になったときに出したらよかったかしらとか色々思いました。が、「オカピに逢いに行く」行為がまず粋だから!

る○【67評】(オカピの画像検索…)ああ、これは粋だ。この縞は江戸の火消し羽織みたい。オカピのほめ方として見事だと思う。

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68 シマウマの縞の消えゆく牡丹雪    十猪 (猪)
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ぽ◎【68評】雪で白黒の縞が消える句、思い浮かんだけど結局読めなかった。それを見事に読んでいらっしゃる。とにかく美しい。縞といえばシマウマと誰もが思いつくが、ここまで綺麗に読めるのか、悔しい!で特選。

碍○【68評】動物園のシマウマに、雪が降る。牡丹雪だから、滑り落ちずに、背中にどんどん降り積もっていく。そうしてやがて縞が見なくなって‥‥。その間、じっと佇んでいるシマウマ。アフリカ生まれなのに、我慢強いのね。

朧○【68評】シマウマの縞が雪の白で消えるシリーズはもう一このほうも好きでした。牡丹雪は動物の皮膚に引っかかりそうだ、粉雪じゃそうはいかない。

ち○【68評】ぼってりした牡丹雪が積もると、生き物の皮膚みたいな質感になります。シマウマの黒い部分がゆっくりなくなっていって、シマウマ自体も消えていくような感じを受けました。

噛○【68評】通常シマウマの生活圏では雪は降らないのに粉雪でもなく牡丹雪って!さらに寒そう。動物園のシマウマ可哀想って思ったけど、この情景は実際に見たい。

幹○【68評】シマウマ句ではこれが最も良かった。牡丹雪の容赦ない降り方に、縞どころか姿まで霞んでいくシマウマ。雪の動物園、という状況もものさびしくていい。

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69 縦縞の手品みたいに春の恋    かとちえ (千)
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妹◎【69評】あっという間に恋しちゃったんだ、縦縞が横縞になるスピードで。これを引き合いに出して「恋」にしちゃうの、すごい。一目惚れってこんな風にも言えるんだなあ。

鯖◎【69評】恋の句を素直に評価できないひねくれ者にもこのマギー一門的ナポレオンズ的手つきなら大丈夫。理屈で説明して「深い」とか言うのも不粋に思える軽やかな知性と恥じらい。

珈○【69評】格子に縦縞が重なって、動くと見えたり隠れたりする手品(からくり)を思った。「好きなの?どうなの?やっぱり好き?」って、自分でも恋心を確信してないのが春らしい。恋だといいなって祈りもあるよね春ならね。

友○【69評】なにもすごいことしてないし、なにも生み出していないのに鮮やかな手品(と恋)。

寝○【69評】あれですよね、横縞があっという間に縦縞になるハンカチ手品。タネはバレバレだけど、騙されてもいいかなと思える恋。春ってそんな季節ですね。

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70 縞馬は枯野を渡る西へ西へ    るいべえ (る)
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朝○【70評】漢語のつらなりに酔えました。「枯野」「西へ西へ」、という言葉も。シマウマはたくさんあったのであまり選ぶ気にならなかったのですが、サバンナのシマウマ、というところでかっこいいなあと。彼の国、という感が。

光○【70評】縞馬句が多い中で、これに惹かれた。遠くまでかけてゆく景が浮かんで雄々しく感じた。下が六なことに取るか取らざるか迷ったけど、ファーストインプレッションが強烈だったので取りました。

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71 盲のシマウマ天駈け春動く    カイ (飼)
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崖○【71評】(春が動くってのは大変なことで、これはもう生半可なことでは難しい。それこそ、盲目の縞馬が天に上るくらいの勢いがいる。そして、不協和音のような違和感も伴う。メクラノシって5回呟くとこの句は変わる。)

朝○【71評】天気図のことなのか?盲というのはその、動きの意志や意図のあたりの希薄さ?それには気づかず、画竜点睛?とか思いながら、シマウマが天かける、さらに盲、というあたりにやられました

ちx【71評】盲のシマウマってすごく押し出しの強い語句だと思います。それが天駆けて春が動く、というのは単純すぎないかなぁ、と。ぐいっとどこかでねじってほしかったんです。

平選外【71評】シマウマ句の中では一番好きでした。縞馬って天気図のことだったのかーなんか雲かなんかだと思いました。ほいで春先ってなんか縞々の雲あったっけ?ってなって選外。縞々の雲あるのかなぁ?ってググレ俺。

科x【71評】格好付け過ぎ! と思った。それに「天駈け」は、既に世間で「格好良い」と評価が決まっている言葉だ。どうせ格好を付けるなら、新しくて格好良い言葉を探さなければ。

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72 縦縞の彼寝ころびて下萌ゆる    マオリ (森)
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ひ○【72評】春の川原の芝の上を思いました。平和で、幸せな情景。妄想すれば、タイガース好きな草野球チームの敗戦か。

友◎【72評】「下萌ゆる」がそつなくムードを示してくれる。縦縞を横縞にする句にはマギー司郎のもあり、そのハンカチの軽さにも惹かれたが、一人の人間の持つ重さを感じたほうに特選を入れたくなった。ごろり。

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73 ちゃんちゃんこ横しまなれど父思い    栗人 (栗)
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森○【73評】鬼太郎句。横しまと邪をかけてあるのかな、ほどよい諧謔に妖怪レーダーがピンと立ちました。ところで自分の眼なのになんで父さんなんでしたっけ?

少○【73評】思い浮かぶは鬼太郎。ちゃんちゃんこって、先祖の毛でできてるんだっけ?父を思うは邪か?

林○【73評】よこしまな性格だけど意外と父思い。人間くさい。家族モノはこの句会で続いているけど採ってしまいます。でも鬼太郎だとすると、うーん、ただのシャレになってしまうなぁ。ふつうのちゃんちゃんこと思いたい。

じ○【73評】鬼太郎は父思いな他もだいたいしっかりしてるイメージなんだけどなーと思いながらも最後まで気になった句。

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74 節分や横縞シャツと試着室    あら丼 (丼)
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ぽ○【74評】お父さんが会社帰りにショッピングモールへ。やっぱり赤かな、と横縞シャツを選び試着室。鬼の予行演習はバッチリだ。のしあわせな家族の風景が浮かびました。

智○【74評】節分にむけてボーダーのシャツを準備しているのかな。発音すると心地よくて選びました

友x【74評】鬼って横縞「シャツ」でしたっけ。それはさておき「横縞シャツと試着室」の並列の言い方は複数の文意を持ってしまいそうであぶないかなと。たとえば「横縞シャツ君」を待たせて試着室に入る私とか。

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75 父帰る四半世紀の縞の傘    朝顔 (朝)
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崖○【75評】(勤続25年というと47歳でリストラですか・・・でも、リストラって考え方次第だと思う。必要とされていないとネガティブにとるよりも、新しいチャレンジができる機会だよ。無能な会社と決別できた、OKOK!)

鯖○【75評】約25年ぶりに帰ってきた父は出て行った当時の格好のまま老いと汚れだけがこびりついたように見えた。そんなはずはないのに。縞を汚れと読んだのでそういうシーンを思いました。

数○【75評】単身赴任かなにかで、25年帰ってこなかった父。でも傘は、昔と同じような縞の傘だったのかな…「やっぱ父なんだな」という気持ちを感じました。

珈x【75評】父が25年も使い続けてるような傘に柄は入っていてほしくないなあ、という違和感で。

智○【75評】「父帰る」は日常だと読みました。今日もいつもの時間に帰ってきた父の手をふとみると、ずいぶんくたびれた傘をもっている。聞けばもう25年も使っているとのこと。

ち○【75評】25年も同じ傘を使っている父。ということは25年間傘を失くしたこともないということだ。ものすごく生真面目だ。きちんと納税していそうだ。こつこつ働いて日本を支えてくれている。

蓬○【75評】四半世紀も会ってなければ人間のほうは見慣れぬおっさん(自分似だけど)になってるだろう。少ない手荷物の中の、傘にだけ子供のころの記憶が反応したと。

光◎【75評】離れて暮らす父が家に遊びに来て、また帰る後ろ姿に「あ、あの傘ずっと使ってるんだな…」としんみりするかんじがわざとらしくなく暖かい。憧れてしまう。

栗選外【75評】父帰る、は菊池寛の手前(というのも変だが)、よっぽどのときにしか使えない言葉に思う。そこまで伝わるものがなった。毎日25年休まず出勤をした父の姿なのか、25年ぶりに帰った放蕩の人なのかわからなかった。

鶴○【75評】昔の人は傘を大切にしていたと思う。レトロな模様の折りたたみ傘や、中がチェックのこうもり傘…この縞の傘も、縁あってお父さんの傍らにいるんだろうなあ。といいつつ上五は動く気も。

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76 鳥雲にミルクレープは縞々に    藤幹子 (幹)
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珍x【76評】東京マッハの「蛇穴にコードあたしの襟足に」が瞬時に浮かんでしまったもので…。この形にミルクレープはちょっと主張が強すぎるように思えた。僕には。

ぽ○【76評】鳥雲にで季語かぁと感心。空見上げながら、目の前には縞々のミルクレープな午後のひととき。なんてほのぼの。なんてしあわせ。

白○【76評】このひと、なにか他のことにほわっほわして幸せそうだ。っていうところが気に入りました。縞なんてもうどうでもいいの。

林○【76評】もう少し何かうまい推敲の仕方があるのかもと思いつつ、私ではわからなくてすみません。「鳥雲に」とミルクレープの組み合わせがとてもすてきだったのと、そこに縞を発見したことに拍手したくて、選。

茅○【76評】なんとなく平野レミさんを思い浮かべました。しあわせそう。

寝○【76評】何の根拠も無いですが、ミルクレープって春っぽいなぁと思いました。ちょっと前のおしゃれなスイーツを使っているのが、逆に良い。

鶴◎【76評】ミルクレープを作っている時間の句かな?と。クレープ置いて、クリーム置いて、フルーツ置いて、またクレープ置いて…。縞々になっていく間に鳥は渡っていく。豊か。

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77 雪どけや残像の縞のぼつてゆく    鶴谷 (鶴)
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妹○【77評】雪どけの瞬間を見たことがないんだけど、水に戻って気化するときに湯気が立ち上ったりするんだろうか。ゆらゆら上ってく様子を想像しました。

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78 縞めのう幾度か抱かれ冬終る    ことら (虎)
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崖◎【78評】(出来過ぎだから、並にしたかったけど、人気出そうだからダメはダメというルールにのっとり、膝を屈する崖。エロくない、でもエロい。これを2回転くらいさせる力がありながら、道具立、読み幅の広さ、自由度。)

森○【78評】幾度か、の拘泥しなささに却って艶っぽさを感じた。縞めのうって陰陽を整えるパワーがあるんですってね(そういうの全く信じないけど)この句に関しては効いてる気がした。

ふ○【78評】「冬終る」は、二人に春が来たことをさすのか、二人の関係が終わったことをさすのか、やっぱり後者かな。淋しげだけど透明感があってきれい。エロを照れや下品さ無しに言ってのけられる女の人、好きです。

碍◎【78評】「幾度か抱かれ冬終る」に「縞めのう」って! こんな組合せ、どうしたら思いつくの!? 天才!? 変態!? 抱かれるたびに縞瑪瑙の縞を数える女。たぶん年増。たぶんむっちり。もしかしたら美川憲一的な人。

芽○【78評】水を内包する縞めのう=自分では。外は冷たいけど中に潤いがあって色っぽい句だなぁと勝手に思っちゃいました。

林○【78評】不倫かセカンドラバーか。豪華なカットの輝く貴石でなく、安価でただつるりとして割れやすい、さざなみ模様の石。色は淡いベージュを思い浮かべました。「私を一番にして」とか言えなくて淡々と我慢している女の人。

凡○【78評】「誕生石一覧」で子供心にもウヘーヤダと思った、地味で冴えない「縞めのう」で見事に一句ものされ、宝石だけでない、俺は人生の重大ななにか(特に恋愛にまつわる)をずっと見誤ってたのでは?と錯覚さえ。

黒◎【78評】縞めのうの華のなさと「幾度か抱かれ」の薄幸そうなところが良い(多分この人は男運が悪い)。春になったんだし、縞めのうもそんな男も捨てちゃいなよ!と思う。こういう句を作れるようになりたい。

舘○【78評】やられた。色っぽい。大人の恋だなぁ。冬までの約束でちゃんと冬で終われる二人。縞めのうという安っぽさがちゃんと作用してる。童貞には詠めない句第二決定。

数選外【78評】大人すぎて、私にはとれなかった。とっても、選評する自信なかった…子供でごめんなさい

平選外【78評】一応ぐぐったんですよ?ぐぐったんですが、縞めのうのもつ壊れやすさだとか安っぽさだとかまで想像力が回らず味わいきれませんでした。グーグルに頼るな俺。

C○【78評】縞瑪瑙を味わいきれなかったのですが、中7下5が良いなと。あとで調べたら8月の誕生石。夏の恋が終わったということでしょうか。(書いていて赤面)

黄◎【78評】「縞めのう」が何とも良いですね!ブレスレットと見た(数珠みたいな)。そしてその主はおっさんでしょう。甘い句になりそうだが「縞めのう」ぐらいの渋さがそうさせず共感を与えるのかも。

噛○【78評】フォークソング俳句!なぜだか懐かしい昭和の香りがする。南こうせつにギターを引きなながら歌って欲しい。

幽○【78評】言葉の選び方が嫌いだなあと思いました。「幾度か」と「終わる」のはかなさが上手く響き合ってるし、、それが「縞めのう」の頼りない佇まいともバッティングしてない。すごい句だ。

波x【78評】ああ、いるいる。喫茶店とかで、大きい声でセックスと恋愛について語ってる30がらみの女。妙にさばさばした感じで、達観してる風なんだけど、すごい無理してる感じの女。いやだなーあれという句だった。

丼選外【78評】八月の誕生石なのか、縞めのう。縞が句題だからで他の宝石でも成立するかと採らなかった。プレゼントから半年後か。読み落としました。

雪○【78評】これはエロ枠ではなく惚れ枠で取らせていただきました。淡々とした物言いにぐっと来た。縞めのうの、丸く磨かれて手の中に冷たくすべらかにある感じが、「抱かれ」の語に喚起されて、今その人を抱いているような句。

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79 蜃気楼縞馬まれに肉喰らふ    ちこ (知)
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酒○【79評】くらくらする。中七下五はただの事実(嘘かもしれないけど)・雑学を言っているのに、それだけでなんだか幻覚的なことのように思えて、「蜃気楼と着きすぎ?」とか頓珍漢な文句をつけそうになる。不思議な句だ!

鯖○【79評】「同じ種族で殺し合うのは人間だけ」的な間違いをドヤ顔で言う人が苦手なので好感を持った。この句は句自体の意味というよりそのベースにある世界に対する目つきが俳句的なんじゃないか。

藤○【79評】縞馬句が多かった中で特に魅力的だった一句。蜃気楼のかなたで縞馬が口元真っ赤にして肉食してるところが浮かんだ。ところで本当に縞馬が肉食するかどうかググったけどわからなかったよ(キリンはやるらしい)。

科○【79評】本当!? でもちゃんと(?)「まれに」って言ってるし、「蜃気楼」だし、虚構の不気味な光景として良いと思った。「蜃気楼縞馬」と漢字が連続してるのも、おどろおどろしてて好き。

林○【79評】薬喰のような、ちょっとタブーなものを見てしまった感のある句。蜃気楼が効いていて、絵的にいい。

茅○【79評】単純にびっくりしたのと、シュールレアリズムっぽいタッチの絵が浮かんで強かったので。

黄○【79評】ここでの蜃気楼は季語の本意とは違うのかもしれないが縞馬との取り合わせは絶妙かと感じた。草食動物の肉食の事実は実際あるのだが、「蜃気楼」がうまく作用して詩たらしめているのだと思う。

幽○【79評】「蜃気楼」が他の言葉にも置き換えられそう気もしたんですよね。でも、シマウマが肉を食らうなんて事実を引き受けるにはどっかで虚実であることを示さないといけないのかな、とも。

波◎【79評】虚実入り混じって、煙に巻かれているようで面白かった。蜃気楼と縞馬が肉食であることが相まっていっそう虚構であることが強く示されている。

る◎【79評】「サバンナの生活」みたいな自然番組風でもあるが、意外でこわい一面がさっとインサートされちゃったみたいな面白さがある。が、状況設定関係なく、「肉喰らふ」縞馬は圧倒的に迫力がある。

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80 ミノギアラ親父シマチョウもう一丁    まへ (屁)
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酒x【80評】縞の題でシマチョウを詠んだところまでは良かった。「ムシャムシャしてやった、臓物なら誰でもよかった」感のある上五(ミノとギアラに失礼です!)と、出来の悪いラッパーのような踏韻で、ボロボロになった。

廣x【80評】上五がわからなくて、後半韻を踏むなら前半も……と思つたのでした。

剣x【80評】お題「縞」を出した人はこういう句を求めていたわけではないだろう、と思いバツしながら、何となくずっと気になっていて、気づいたら今日ひとり安楽亭でホルモンを焼いていたことをここに告白します。

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81 縦縞のカーテンひらり猫の恋    黄犬 (黄)
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酒○【81評】ヘプバーン俳句と紙一重なのだが、縦縞(僕は無機的と思った)がそっちに行かないように引き戻してる。ここの家のカーテンが花柄とかじゃなくて、本当によかった。

碍○【81評】猫の恋の季節。膝の上で甘えてた飼い猫が、他家の猫が呼ぶ声が聞こえると、あっという間に窓の外へ。後にはカーテンが揺れるだけ。このくらいの一直線の恋が、すがすがしいよね。でも、縞じゃなくてもいいかも。

栗○【81評】ああ、うちのカーテンも縦縞だけど、猫は考えもつかなかった。いま飼ってる人にしか書けない句だろう。盛りのついた猫と、爽やかなストライプのカーテンに春を嗅ぐ。ひらりがやや安易な気もしたので、並選に。

友○【81評】「カーテンひらり」の軽さが好ましかったです。こういう句、さらっと、作りたい。

平○【81評】ふわっとしてかわいい現代っぽい句。いろいろ当てはめてみたけど、語感としても景としてもカーテンの柄は縦じまじゃないといかんよなぁひらり感が違ってきちゃうよなぁという点で○。

知○【81評】カーテンから猫がひらりと出てくるところが目に浮かぶ、かわいい句。縞柄が春らしい。

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82 スキー部のジャージの縞が多すぎる    碍子 (碍)
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廣◎【82評】過剰なのが好きなんですね自分が。縞が多すぎるジャージつて何かそれだけで面白い。

好○【82評】スキー宿に泊まったら、どっかのスキー部合宿と一緒になり、うぜえなあしましまジャージと思っている。という解釈でいいのかな。多すぎる、がストレートで可笑しい。

百○【82評】わかる! こういうフィールドでしか言えないことがあるってこと! 「あのジャージさ、縞多くない?」って誰も聞いてくれないもん。だから俳句にするんだ。多すぎますよねー!!(知らないけど) 

数◎【82評】スキー部のジャージは、何故か他の部より縞が多い。スキー部員はそれがずっと嫌で、ある日「なんでスキー部は縞が多すぎるんだよ!!」ってなったのでしょう。「多すぎる」がなんかいい。

虎○【82評】縞が多すぎる、て!「蛇、長すぎる」を思い出しつつ、どうでもいい!と思わせるからこそしっくりとはまって大好きな句になりました。もう覚えた。忘れない。という一句です。

茅○【82評】チラチラする!映像に向かないタイプのジャージですね。鬱陶しい柄の集団が体を左右に振りながらゲレンデを降りてくる様を想像して分身の術みたいで笑いました。でもジャージで滑らないか。

ち◎【82評】多すぎる、というところがツボにはまった。縞が多すぎる、って狂ってる。このスキー部、部員の顔も全部同じだよ。

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83 日曜日シマウマに降り続く雪    百枝 (百)
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森○【83評】いわゆるゼブラ柄が曖昧になっていく様が美しく感じられた。比較もアレですが、68句の「縞の消えゆく」が、よりこちらの句で実感された。「日曜日」が持たせる夢幻でありリアリティかしら。

少x【83評】数ある、シマウマ句。日曜日がどうにもしっくりこなくって…。ゼブラーマンの主題歌?

凡◎【83評】「並選の佇まい」の句。縞馬は白黒で、雪は白だけ。でも見続けると雪景色の中の黒さがみえてくる。本当は万物に雪は振ってる。「俳句で」こう切り取れた。日曜日がベストか分からない。が、よい日曜なことはたしか。

麻○【83評】この絵を部屋に飾りたい。名前は忘れたけどこういうタッチで描く有名な画家がいたよねえ。……ものすごく「見えた」ので選です。

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84 冴返る水平線と縞のシャツ    オカヤ (茅)
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地○【84評】はずかしながら、「冴返る」を知らなかったのです。意味を調べて、あらステキねとなったしだいです。この縞はボーダーに違いない。

寝○【84評】「冴返る」と「水平線」が縞のシャツの美しさを際立てている感じがしました。これでもかという感じ。シャツはピシッとアイロンかかってるな。

子○【84評】縞という柄はコントラストの強いものの方がイメージが湧きやすいと思うが、それが「冴返る」にぴったりだと思った。水平線(海)と縞が合いすぎな気もしたけれど、さわやかなので◯。

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85 冬の月シーツの縞の波ぬめる    けば名人 (ふ)
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丼◎【85評】シーツ、ピンと張った方が気持ちいいんですけどね、寒いからぐだぐだのまま寝ちゃう。で、布団の中で足を使って伸ばす。冬の月が差し込む部屋で孤独感まで表現された冴えた句だと思う。

剣○【85評】今シーツの下ではただならぬことが起こっているのでしょう。素材はシルクでしょうか、「ぬめる」のエロさがいいですね。フェリーニの映画「カサノバ」で海が明らかにビニールで出来てて驚いたことも思い出しました。

幹○【85評】シーツの縞の波、というのが少しくどい説明かなとは思ったのですが、冬の月光となめらかなシーツの感触が良かったので選。これが秋や夏だと暑苦しいし、汗っぽい。

飼○【85評】冬はシーツじゃなくて毛布ではと思ったけど、毛布じゃこの句が持つ冷んやりした雰囲気は出せないな。最後の「ぬめる」が色っぽい。

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86 しましまの熊がいるなら会いたい    しっぽ (ぽ)
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森○【86評】「あー、シマクマね…会う?」って言ってあげたくなった(言えるものなら)下「会いたい」の後の足らない一文字に本気を感じて選。

芽x【86評】そうですね、いるならね…と……。それ以上でもそれ以下でもないので…困惑してしまいまして…。

虎x【86評】上五中七がキッチュでおもしろかったので、下が「会いたい」でなかったら最高にキャッチーだったのでは、と思いました。具体的にどうすればいいのかわからないのにそんなぼんやりした言い方ですみません〜。

栗○【86評】しまくま、会いたい!会いたい!くま好きの心に響きました。下五、会いにいく、でもよかったか。

朝x【86評】詠み手の方にとっては言葉遊びでなく切実な感慨なのかしら?と他の方の選評で気づきましたが、逆選をするときには、言葉遊びかなあと思い、逆選してしまいました。すみません

寝x【86評】発想のおもしろさ、可愛さに惹かれました。ただ、何度か読むと下五が4なので俳句に見えなくなってきて、逆選に。

炭x【86評】下五が「四」になっていることで、言葉をぶっきらぼうに言われた印象を持ち、「しまうまの熊」に興味が持てなくなってしまいました。

じx【86評】会いたいで終わってしまっているのは最後に「な」を書き忘れたのかわざとなのか。しましまの熊もよくわからずで、考えれば考えるほどゲシュタルト崩壊句。

千○【86評】字足らずは明らかにマイナスポイントであるはずなのに、この句に関しては、それが効果的になっている。切実さともつぶやきとも読めて、ミステリアスな魅力になっている。

知x【86評】下五が四文字になってしまっているのが、どうしても。「会いたい」でなければ良いのにと思いました。ごめんなさい。

麻◎【86評】いるなら〜まで考えてたらストンと「会いたい」が座っちゃったんでしょうか。本心ぽい。「会いたいな」だったら可愛いこぶりやがってと思ったかも。私も会いたい。

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87 縞模様似合わぬ人よさようなら    あま栗 (ん)
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ふ◎【87評】それだけが決定的に嫌だったのか、小さなことが積み重なったあげくのそれなのか。決別の気持ちを表す言葉としてすごくいいなあと思いました。私が男で直接こう言われたらぐっときちゃって忘れられなくなりそうだ。

百x【87評】ほかの句では思わなかったけど、これは『ボーダー』だろう、と。お題が「縞」じゃなかったら「ボーダー」で詠んでいるはずだと思いました。

白◎【87評】こまかーいことが降り積もったのかもしれないけど、最初の違和感は縞が似合わないからだったかもね、と。縞が似合う人は確かに素敵だし。

酒選外【87評】「ボーダーが似合わないから別れた」わけじゃないと思いますよ。別れ際に相手が、いつもの似合わない縞を着ていたんでしょう。それはそれとして、「喧嘩」か?「俳句」か? と思い、採れずでした。

千○【87評】無季であることは気になったし、それで悩んだけれど、結局は内容に惹かれて選。一見シュールな別れの言葉だけれど、別れってこういうものかもしれない、と思わされた。

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88 煙突や陽炎ゆらぎ縞となり    少佐仮面 (少)
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舘○【88評】これも65番句と同じ、そうだよそうだよ!句。陽炎によって縞に見える見慣れたビル群。すごいなぁ。その感性ください。

蓬x【88評】「ゆらぎ」は陽炎にもともと含まれてると思うので、そこは飛ばせたかなあと。あと煙突と陽炎も理屈でくっついちゃってると考えたのですが、煙突が稼動してるゆえの陽炎ってわけではないのかな。

噛◎【88評】煙突は、煙に目を取られるけど煙になる前は確かに陽炎が揺らいでいる!見逃してしまいそうなことをちゃんと見てその情景を写実的に句にしていることに感心しました。

知○【88評】陽炎がゆらいで周りが縞になっているところを、実際、今見て句にしているようなところがいいと思いました。静かな情景。

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89 しましまや痒い手首ゴムのあと    まる子 (子)
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森x【89評】「あと」と言わなくても十分「痕」だと分かるので勿体ない。ゴムのその後が知りたいと思った。

鯖x【89評】いくらでも五七五に出来るのに何故しないのか。

少○【89評】単純に「あるある」って思ってしまった。けど、靴下のが良かったのかな、とも。

数x【89評】いいイメージですし、もっと工夫したら情感あふれる素敵な句になると思います。普通過ぎて、もったいない。

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90 冬ごもり群れて絡まる縞の蛇    小嶋智 (智)
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崖○【90評】(こういう光景あるんでしょうかね? 蛇って群れるのか分かりませんが、思い出したのは三鬼が絶賛した、かたつむりつるめば肉の喰ひ入るや(耕衣)。もうリアリティとかどうでもいい力がある)

数○【90評】冬ごもりしながらの、繁殖行為かなとつい深読みしてしまいました。春にはちび蛇が産まれてくるなら素敵だなと思います。

地○【90評】気持ち悪ーい、と思いながら、恐いもの見たさでのぞいてみる気分。中五下七を声に出して言いたい。

ひ◎【90評】単純な縞が絡まる事で複雑な模様となり、また蛇革の艶が、描かれていない土と対比され、ほんと、美しいと思いました。

寝○【90評】絡まって解けなくなったりするのかな。リアルに見せられたらウエッとなりそうだけど、俳句にするとおもしろい。

珍選外【90評】自分もシマヘビを使おうとして、夏の季語と知って断念したのですが、これはいいですね。蛇を持ち出す意味がある。上五がただの説明になっていなかったら取ってました。

酒選外【90評】四季に蛇の季語があり、今は穴を出たりするタイミングなところに、あえて冬ごもりさせたぞ、という作為や挑戦は、僕には読み取れませんでした。

じ○【90評】ふだん見かけるのは単体だったなー。縞蛇から冬の句へ持ってこうとしたんでしょうかね。もう少し面白くなりそうだとも思いました。

知○【90評】ものすごく強い画が目に浮かびます。絡まっている蛇を想像すると怖いけど、綺麗だろうな。と、思わせる。

雪○【90評】縞蛇の、生き物としてただそこにある印象と、にもかからわらず見てはいけないものを見てしまった感覚がいいです。好き。固まってても体温はなくて、周囲の土のぬくもりしかないのも、生きてるのか際どくていい。

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91 弾む前のスーパーボールの縞寒し    凡コバ夫 (凡)
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酒○【91評】スーパーボールはいつか弾む春を静かに待っている…わけなくて、いま落としゃいいんだけど、縞の後ろで「切れ」てると思うといい句。冬の公園とかでの、楽しい時間の中のほんの一秒だけぐっと意識する、寒と静。

妹○【91評】あんなに跳ねるものの、弾む前を言っててニクい。なんかクールで男前だ。

地○【91評】最初の「の」はいらないと思うけど、カッコいいので○。スーパーボールで遊んでる大人はそうとうおかしいと思うけど、なんかカッコいい。そうとしか言えない。

剣○【91評】縞馬や気象図で書いた方が複数いるなか、全然違うものを持ってきたのがまず良いと思いました。縞模様のスーパーボールってたしかにあるけど、それを寒いと言ってしまうセンスにはちょっと天才を感じました。

黒○【91評】仕事の無い犬が無気力になるように、弾まないスーパーボールは「寒い」。縞模様のスーパーボールならばなおさらだ。納得の○。

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92 崖にたつ縞は太古の海の跡    yagimeiko (芽)
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好○【92評】崖にたつ、のはこの句の主体である人物? だとするとちょっと位置関係が分かりにくいかな。でも「太古の海の跡」は好きなフレーズ。

丼○【92評】切れなしで解釈しました。切り立った崖に表れた地層に悠久の思いを馳せるのがスケールが大きいと思い、選。

ぽ○【92評】地層を縞とした時点で選。加えてそれを「太古の海の跡」と読む表現のうまさ。。切立った崖の上で、太古のロマンを感じる。かっこいい句です。

科○【92評】「の跡」が説明しすぎかなとも思ったが(「太古の」で、「跡」だとは分かる)こういう雄大な句は大好きです(前回も言ったなあ)。

ひx【92評】崖に立ったら崖見えなくない? なんて、バカな気持ちが押さえられず、逆選にしてしまった(エッフェル塔を見ないで済むのはエッフェル塔の中、みたいな)。

黒x【92評】どうしても「たつ」の表現に引っかかる。「たつ」のは自分?崖?縞?が絞りきれなくて逆選。縞というお題で地層を持ってくるセンスはとっても好きです。

朝◎【92評】人の手にならざりしもの? 人がからまない存在。時間や空間を思わせるもの、そういうのは好きです。しかしそこに人はいて、だからこそこうしてここにそのうたがある。

C○【92評】スケールでかいっす

蓬○【92評】「崖にたつ縞」で、海が削った縦の筋のことと読みました。筋と筋の間が、崖の上の建物ぶんあるくらいのでっかい縞。

幹○【92評】上五で切って読みました。崖に立って、ああ自分の足の下にはさっき見た地層があるのだ、あれは海のあとだ、かつての海を踏んでいるのだ、という感慨かと思いました。その把握は好きだなと思い選。

鶴○【92評】崖の上と、眼下の海の跡の間には、縞が見渡せるほど何もない。その空間をカンブリア紀の生物たちが泳いでいるのを想像しました。広いなあーと思って選びました。

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93 縞柄のネクタイ長し新成人    炭余分 (炭)
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酒○【93評】地味な句だけど、成人の日の風景から縞柄の長いネクタイを切り取ったのは、いいシャッターの切り方だなと思いました。もちろん言外に「初々しさ」とかを含んでるわけだけど、それを押し売っていないところも好きです。

百○【93評】ネクタイが「長い」というところを言っているのが好きでした。似合うとかダサいとかに興味なし。『長えよなアレ…』と思っている笑 私も「二十歳」より「ネクタイ長い」のほうが重要だと思います。

少○【93評】「長い」のが、いかにも、ネクタイに慣れてない感じ。初々しいね。

剣○【93評】ネクタイの両端をちょうど良く揃えるの、私はいまだに一発では出来ません。新成人ならなおさらでしょう。柄も全然似合ってないのが目に浮かびます。パッと情景が浮かびそれが微笑ましい、というのは良句だと思います。

虎○【93評】「ネクタイ長し」で締め慣れない新成人の初々しさが鮮やかに見えます。写生って難しい…と感じていたのですが、この切り取り方、勉強になります。

芽○【93評】入社式ではなく成人式である所が初々しくて良いです。この子の通った高校は学ランか私服だったのでしょうね。光の君の「首細し」の様な頼りなさもプラスです。

茅○【93評】自意識過剰なのに細部に目が行ってないかんじがちょうど成人ころっぽいと思いました。

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94 しましまの天気図羽織り冬将軍    疲労飽き (ひ)
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数○【94評】しましまは等圧線かな。縦縞の羽織の冬将軍。そのうち、冬将軍も羽織を脱いで去って行くんですね。

ぽ○【94評】西高東低いわゆる冬型の気圧配置。天気図のしましまかぁ、やられました。「天気図」を「羽織」る「冬将軍」という三語の強さを感じます。しましまはあえて漢字を避けたのかが気になりました。

芽○【94評】今年の冬将軍の縞はものすごく細い縦縞ですよね。陣羽織を着たとても強そうな将軍が浮かびました。縞の間隔がもう少し広くなってくれればねぇ

藤○【94評】冬将軍という将軍がギリシャ神話的に実在したとして、彼は天気図は羽織らない。天気図はただの図面だから。この、神話と三次元の現実と二次元の簡便さがごっちゃになっている雑さがちょっとよかったです。

凡x【94評】天気図を服に「見立て」るのを「幼稚」と思うのは僕個人のセンスとしても、冬将軍という擬人化がすでに「見立て」で、ただ二重にされても面白さが掛け算になってない。しましまは冬型だから理に落ちてもいる。

舘○【94評】ここ最近の天気図は典型的な西高東低。また寒いんだ、また乾燥するんだ、嫌な天気図。でもその天気図のあの線を縞に例えるのが素直にすごいと思います。

鶴x【94評】威厳があんまりない冬将軍だなあ…。どこかぴりっとしてほしかったです。思いついただけにならないように。

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95 横縞やパットメセニー亀鳴かす    酒井 (酒)
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好○【95評】私も「縞」と聞いて最初に思い浮かんだのはパット・メセニーでした。こないだのライブはチェックのシャツだったけどね。「亀鳴かす」がばかばかしくてよい。

地○【95評】もうぜんぜん意味がわからないんだけど、亀がなくんだよ。それくらいに、いいんだ。パットメセニーは。

剣○【95評】これはギタリストの端くれとして、丸しないわけにいきません。先日ブルーノートで演ったのを全然知らなくて悔しい思いをしました。亀鳴くという季語は知らなかったんですが、面白いですね。嬉しくなる句です。

栗○【95評】横縞ミュージシャンといえば西のメセニー、東のcobaか。メセニーのギターなら、亀も静かに鳴こうというもの。This is not America が聴きたくなった。なんかちょっとさびしい春を想う。

数選外【95評】まず、パットメセニーが分からくてググッてみました。今度は、パットメセニー氏と縞の関連が分かりませんでした。そうか、パットメセニー氏縞柄好きなのか。と、今腑に落ちました

飼○【95評】「亀が鳴く」って春の季語なんだ。パット・メセニーの軽やかな調べに乗せられて寡黙な亀も思わず歌ってしまった、春ならそんな珍奇な出来事も起こりそう。

炭○【95評】パットメセニーといえば横縞!上五で切れているのに中七と繋がっているのが気になりましたが、この人なら自身の演奏ででも、楽器としてでも亀を鳴かしそうで面白いと思い、取りました。

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96 春や昔フリッパーズの縞と縞    二羽剣 (剣)
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林◎【96評】わからないけど何だか好き、縞々の服の漫才かな、と採ってから、90年頃にそういうバンドがあったっぽいと知りました。まさに春や昔。語感が良くて、スイングしてる感じに思えてくる。

珈◎【96評】世代ではないので彼らをよく知らないのだけど、たしかに(のちにソロで知る)2人はボーダーシャツっぽいし春らしい。早く誰かに言いたい句。思い出が絵になるミュージシャンを好きでいたこともうらやましい。

凡○【96評】昔、なんだな。そうだよね。春が似合う。似合ってさびしい。

朧選外【96評】フリッパーズは同幅の横縞同士(色味まで似てる)だから「縞と縞」じゃなくて「縞同士」だろう、と思って取れなかった。「縦縞と横縞」またはそれに準じる違う縞が二つ並んだ瞬間しか「縞と縞」と言えないと思う。

穂○【96評】フリッパーズ! たしかに「春」だし「昔」だし「縞」ですね! 「縞と縞」で一人一人というか、すでに解散してることまで匂わせていてうまいなあと思いました。ちょっと寂しいけど。

鶴○【96評】フリッパーズに似合うかっこいい句。天才ふたりに憧れていた人たち(自分)のことも思われました。記憶の中でふたりはなぜかいつもボーダーを着ているけど、画像検索してみたら全然出てこなかった。