第四回【なんでしょう句会】縞評 弐

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97 カプチーノ縞から一線リーフと化す    じょーじ (じ)
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芽○【97評】バリスタの描くカプチーノアートの手際の良さとその瞬間の感動が素直に表れていると思いました。その後の話題も弾むんだろうなというワクワクも感じ取れました。

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98 春風に縞の靴下合わせをり    波平 (波)
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妹○【98評】その日に着るもの考えるとき、わたしはたいてい靴と靴下から考え始めるので、このひとの、春風に合う縞の靴下も、すごく見てみたいと思いました。不思議と気持ちのほっとする句だなあ。

好◎【98評】ほのぼのとして、爽快感があって、とても楽しい気分になる句。

百◎【98評】『春』っていう字にヨコ棒が多いから? イメージの中で縞柄とすごくよく合うなと思った。主人公が春に合わせようとして縞を選んだ、というセンスもすばらしい!

白○【98評】靴下の柄の中では横縞はすごく多いと思うけど、春風に合う縞を持っているなんて、靴下のプロだ。

朧○【98評】「おしゃれしたい」って春のつよい実感だ。ブーツも脱いで靴下をみせるファッションしたくなる感じとか、すべてのパーツがぴったりとはまっていて素敵だと思います。

凡選外【98評】いつも左右めちゃくちゃな靴下だが、今日は春だからちゃんと左右をあわせて履いたぞ、と思ってた。取り逃した○一個は次元の低い○だから作者の人、気にしなくていいですよ、と。

茅○【98評】暑苦しい冬柄の靴下ばっかり持っているので靴下買いたくなりました。

寝◎【98評】春風に「合わせる」という発想にやられました!春が待ち遠しくなる句。

黄○【98評】何か春って感じのする素直なイイ句ですね。絶対女性。いくつになってもこういう青春性には憧憬がありますね!

飼◎【98評】新しい季節に合わせて着る服を選ぶ時の浮き浮きした気持ちがよく伝わってくる。まさに春風のように軽やかな句で大好き。

じ○【98評】冬もそうだけど、足元を見て寒そうかどうか思うなぁと選びました。春風のころに靴下を気にするのは女子力っぽい。

知○【98評】春にはボーダー柄が合います。靴下を持ってきたところが素敵でした。

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99 嬰児や縞鮮やかな蜂来る    兄妹 (妹)
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崖○【99評】(緊張感を鮮やかと表現したのが、この句の見どころであり、ボクシングでいえばカウンターみたいな効きがあった。でもさー、ほんとはみんなにボクシングより空手観て欲しいんだ。)

森○【99評】どうしたって守ってあげたくなってしまう赤ちゃんの姿と、蜂の警告色の組み合わせに、まんまと本能に訴えかけられ選。ずるい。

鯖○【99評】色と生命力とサスペンス。とても輪郭のクッキリとした句。

藤○【99評】赤ちゃんが世界を吸収する目で蜂をじっと観察しているさまが伝わってくる。蜂のほうも赤ちゃんをどう取り扱うか多分測りかねている。そういうときってみだりに騒いだりせず、静かに両者を対峙させておくのがいいと思う。

科○【99評】瑞々しい生命力を感じさせる句。「来る」の一言が、力強さを出している。「蜂」も、危険(ネガティブな物)じゃなくて生命力のポジティブな象徴じゃないかなと思う。

珈○【99評】カメラの広告の一場面のような世界がわっと頭の中に広がった。赤ん坊の肌や瞳、蜂の黄色と黒、「みどりご」という音まで春の生命力を彩る。

智◎【99評】もーたまらんです。かっこいい。やたらに彩度もコントラストも高い絵がうかびました。別に緑色じゃないのだけど、みどりごって言葉も彩度の高さに貢献している。

平○【99評】写実として表現に過不足が無いうえ、赤ん坊と蜂というのが何か象徴的なものの様にも見える。赤ん坊と蜂以外の全てが空白であることも世界に不思議な厚みを持たせている所以か。あざやか。

C○【99評】自分にもっと造詣があれば特選にするのではないかと思いました。うまく語れませんが取り合わせに、はっとさせられました

蓬○【99評】ふにゃふにゃな赤ちゃんと鮮やかで硬い蜂、質感は真逆だが両方生命力の塊。その釣り合いに加えて、次の展開を危惧させる一瞬を切り取ってもいて、うまいなあと。

幹○【99評】世界がくっきりと輪郭をもっていてくらくらします。鮮やかな、とあえて言うことで、蜂の質感や種類まで想起できる。

飼○【99評】赤ちゃん(と抱いた人)逃げて〜と呼び掛けたくなった。色彩の鮮やかさに加え、生まれたばかりの守られる命と命を育むために蜜を集めに来た蜂の対比が秀逸。

幽○【99評】これはアニミズム的な印象。警戒色をもつ蜂も嬰児も本能で闘いをしている。その様子が緊張感を持って伝わってくるなと。ここまで引き締まった「縞」は他になかった。

波○【99評】赤ん坊の生き物としての不安定さと蜂の危うさとの取り合わせにはらはらとさせられる。命の、春の芽吹きの、単にポジティブであるだけでないダイナミズムみたいなものが良かった。赤子に蜂ってやっぱり危ないって。

る○【99評】西東三鬼「みどり子の頬突く五月の波止場にて」をまず連想した。でもこっちの句はより嬰児の視線から見てると思う。蜂の縞を危険信号というより単に「鮮やか」と感じてしまう無垢な視線。だから余計不穏。

鶴○【99評】生まれたばかりの赤ちゃんは、病気にかかったりしないようにしばらく無敵の抗体を持っているとききました。その弱くて強さと、蜂のくっきりした縞々のイメージはすごく近い感じがしました。

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100 雪原に縞引き終えて戦車燃ゆ    山科 (科)
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崖○【100評】(ごめん、まじ、採っておいてなんだけど、この句大丈夫なの?(笑)いや、なんか凄いんだけど、意味がぜんぜん分からないwwwでも、迫力でとっちゃった。みんなも採ってるから、余計に怖くなってきたよ)

森◎【100評】文句なく素晴らしい景。真っ白な戦場に機械的なる生の痕跡をふた筋のこし、真っ赤に燃えてゴール。燃えるのは本意でなかっただろうが、あまりにも美しすぎる幕引き。今はもはや生命を感じさせぬ静かな雪原、凄い。

酒○【100評】この座に戦場カメラマンはいないはずなので「虚構」だが、虚構というより、よく出来た物語・ファンタジー・エンターテイメントと思った。ガンタンクが雪原を走行(?)したことがあるかは知らないけど、そういう。

廣○【100評】松本零士とか新谷かおるの世界かなあ、と。

鯖○【100評】情景の良さでは一番。特選にしなかったのは「引き終えて」だと戦車の運行と被弾と炎上の時間軸・因果がちゃんとしてないから。

百○【100評】縞引き終えて、くらいで閉じる句がほとんどだと思う、時間の流れ方で言うと。「燃ゆ」まで時間を流れさせたことで、物語が生まれたんじゃないかな。「雪原に戦車は線を引き終える」だったら絶対取ってないもの。

少○【100評】パッと見て、小林源文の劇画を思い出す。無限軌道の轍を残して、役目を終える…。

剣◎【100評】「縞」で、雪原に残った戦車のキャタビラ跡、という発想がどうしてできるのか分からない。しかも白い景色の中で戦車が赤く燃えている。何なんだこれは。ゴダールみたいだ。凄すぎて何が凄いのかもよく分からない。

藤◎【100評】美しければなんでもいいんだよ!と本気で思っているけど、たまにその本気が挫けてるんじゃないかと自分を責めるときがある。そんなときはこの句を思い出します。美に善悪なんてない。美しければなんでもいいです。

凡○【100評】実景みて作ってないと「すぐ分かる」句には厳しいのだが。戦車は一台じゃない。大作戦が壮絶に失敗したと句が「言ってる」。密告者の存在さえ窺える。戦争に対し「意見」がまるでないところも含め、いい嘘俳句。

ひ○【100評】作り込まれたジオラマを鳥瞰するかの様…とても静か。

黒○【100評】壮大さに惹かれて○。この俳句の中に時間の流れがある。

穂○【100評】実際は軌跡は縞ぐらいじゃ済まないのだろうけど、白と黒と赤の風景が浮かびました。爆音がすっかり止んで鼓膜が破れたかのようにしんとしている。美しくて空しくていいですね。

寝○【100評】何か元ネタがあるのかなぁと思ったのですが、そうでは無いみたいですね。元ネタがあるのかと思うくらいキマってる句。美しい。

C◎【100評】湾岸戦争の火がテレビで放送されていた事を思い出しました。色の鮮やかさや縞を引くために出陣してきたかのような表現も合わせてぞっとさせる句だと思います

珍選外【100評】取れなかったのは単純にわからなかっただけだが、みなさんの選評で「ああ、戦車が通ったあとの…」と景は見えても、それでも「縞」を「引く」には違和感がある。「線」だよなあと。

数選外【100評】雪原と戦車燃ゆの組み合わせは最高なシチュエーションと感じますが、お題『縞』の句に持ってくるには、強すぎるかと

炭○【100評】単体で、作戦に失敗して敵軍に使えないように燃やされる戦車、が浮かびました。映画のワンシーンを見ているよう。

幽○【100評】一台でも往復すれば縞かな、と。戦車本来の機能に敢えて目をつぶって「縞を引く」部分だけにフォーカスしてる。しかも余韻を残さぬよう「本戦車は縞を引いた後、自動的に消滅する」炎上!

波○【100評】かっこいいモノ詰め合わせ、ただちょっとラノベっぽい感じ。燃えたら、ちょっとやりすぎかねえ。リビドーがほとばしってしまった感じが惜しいですね。

る○【100評】戦車は一台かなあ。ロシア対フィンランドの冬戦争でスキー兵にやられたロシア戦車とか・・・(妄想)まあ空想であれ、「縞引き終えて」という皮肉っぽさが戦記ものっぽい。

雪◎【100評】二本は縞ではない! の主張に基づいて、キャタピラ跡そのものを横縞と取りました。台数は一台のほうが白い、何も見えない場所に遠ざかってそして燃えるのに似合う。どこにも辿り着いてない終着点、いいですね。

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101 短足の縞馬連れて冬の虹    崖元 (崖)
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妹○【101評】確かにしまうまって、短足だ!メルヘンチックな可愛さのある句かと思ってたけど、ふつうに、しまうまが可愛く思える句だなあ。馬といいつつ短足。可愛いぞしまうま。

藤○【101評】すてきだった縞馬句、二句目。縞馬の脚、たしかに短めだ。そんな縞馬を慰めるように振り仰ぐ冬の虹だよ…って縞馬はぜんぜん自身の短足を気にしてないのにね。でも、そういう余計なやさしさはちょっと好き。

蓬○【101評】縞馬と冬の虹、だけだと気取ってまとまってしまうけど、短足のひとことで愛情とまぬけさが行き届いた。それでいてやっぱりきれいで、物語を感じる句。

波○【101評】そんな散歩もあるだろう。のどかで、いいじゃないか。こういうフィクションは好きだ。

知◎【101評】短足の縞馬を連れてポンチョを着て旅をしている童話のような世界で好きでした。

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102 かぜのよる縞々男あらわるる    フジノ (藤)
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崖x【102評】(無季はダメです。この句においては無季はダメなんです。でも、センスに惹かれた。選択すべき方向性はいくつかあると思うけどたとえば1つには「葱抜きし男ぴかぴか来たりけり 澤好摩」とか。葱は冬だよん)

廣○【102評】まるで佐々木マキの絵本のやうな世界だなあ。

ふ○【102評】冷静に考えればぜったい怪しいのになぜだか惹かれてしまう、私もそんな気持ちでよくわからないままつい並選です。るるる。

丼x【102評】「あらわるる」だと連体形で、ずるずるした感じ。口語で「あらわれる」でよかったのではないかと思う。あえて文語終止形の「あらわる」で字足らずも面白かったかもしれない。

黒○【102評】「縞々男」で囚人服を着た男を想像。牧歌的な口調とは裏腹に、意外とハードボイルドな情景なのではないか。これ、縞々男の一人語りだったら怖いなぁ。

友○【102評】「縞々男」って言うなあ。縞々の服着た人自体はさておき、「縞々男」はどこか不穏。「かぜのよる」のイメージに近い季語は、ありそうですね(無責任に言ってみる)。

ち○【102評】漢字は「縞々男」だけ…。かぜのよる、が平仮名なのがすごく怖い。最後の「るる」、縞々男が歌っているみたいでこわい。縞々男の、う、の形の唇を想像してこわい。

舘x【102評】最後まで並にするか悩んだ句。かぜが風なのか風邪なのか、しかし両方とも通じてしまうのがわたしにはだめだった。感性がなくてごめんなさい。

数選外【102評】とらなかったけど、伊藤潤二氏に漫画化して欲しい。縞々男。私はどうやら、縞々女ですが。

剣選外【102評】「縞々男」気になります。村上春樹的な世界を感じる句で、自分にとっての村上春樹の是否について考えて悩むうちに取りそびれました。

飼○【102評】風の強い夜、一陣のつむじ風と共に楳図かずおが突如として現れ「グワシ!」。季語は入ってないが春の夜ならこれ位のことも起こるだろう。たぶん。

幽◎【102評】はじめはスルーしていたのにだんだん怖くなってきて特選に。季語はないけど怪奇語があるからOK。る、るるの繰り返しさえ縞模様に見える。中五だけ漢字というのも効果的。るるる……

る○【102評】これに近い句をぎりぎりまで考えていた。だから思いこみが入るかも知れないけど、囚人服の男が浮かぶ。景色はクレパス風で、寒そうだが季節は確定していない方がいいかも。

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103 朝焼けのゲレンデ飾るよろけ縞    ちよ (地)
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ふ○【103評】ホテルの窓からの遠景かな。オレンジに薄青の縞の鮮やかさが目に浮かびます。人もいないし、味わいながらのんびり滑っているんだろうなあ。

百○【103評】ゲレンデと無縁なもので、こういうふうに見てきたように詠めるのがうらやましいなあと思って… 

平x【103評】朝焼けに比べてスキーの跡って細かすぎて、しかも白に白の縞になるし、どう頑張っても朝焼けとよろけ縞が両方ちゃんと見られるカメラ位置が想定できませんでした。

舘○【103評】ホテルの窓から見た景色。夕べは雪が降らなかったんだな、だってスキーの跡が残ってる。初心者がナイターで滑るなんて危ないぜ。スキーの跡を縞に例えた感性がいいっ。

じ○【103評】朝焼けのゲレンデってなんかカッコイイ!そんでよろけ縞がカワイイ!って思って選びました。

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104 シマシマの長いマフラー長嶋君?    ちねり (C)
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好○【104評】だじゃれの挨拶句というのはだいたい悲惨な結果になるけど、これはいいなあ。長嶋くん、の小説みたいでもあるし。

数○【104評】ダジャレだとは気づきませんでした。「長嶋君?」と呼びかけているであろう人に惹かれました。イメージですが。

藤x【104評】挨拶句だ…!と一読して緊張が走った。長嶋有さんぽい人が縞のマフラーを巻いている光景は確かによい。でも優れた挨拶句って特定の長嶋くんを知らなくても、挨拶句だとわからなくても、よい句であるべきでは?

ち○【104評】挨拶句で駄洒落で最後はハテナ付き。よくこれだけ遊べるなぁ、楽しんでるなぁ、と。まともなのは「マフラー」部のみだ。

千x【104評】あまりおもしろさを共有できなかったし、俳句らしさを感じられなかった。楽しげなのはいいと思ったのですが。

麻○【104評】この句のぬけぬけとした表情が好きです。なんでしょう句会だから出した限定品の感もあります。

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105 菜飯炊く女房髪に白い縞    甘噛 (噛)
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和◎【105評】夫婦の歴史と、ちょっと枯れた愛情を感じたので、特選にしました。こういう夫婦があこがれなのかもしれません。

少○【105評】普段通りと思ってたところに、時間の経過と苦労を見てとれた句。菜飯の味は変わったか?

ぽ○【105評】読み人の情感溢れる句だなぁと思いました。菜飯を炊く女房の背中をじっと見つめ(多分新聞広げながら)最近目立ってきて白髪に目をやる姿は、寂しげでありながら、長年連れ添う者への確かなものを感じ取りました。

智○【105評】菜めしがたきあがって台所にたつ妻の後ろ姿、なのだろうと思いました。白髪を「白い縞」と表現するのよいですね!

茅x【105評】菜飯と白髪という取り合わせの老人ぽさがちょっとわざとらしいかなと。

朝○【105評】食欲、嗅覚や味覚と、視覚とのとりあわせ。結婚って、時間芸術なのかなあと思いました。

炭◎【105評】「三丁目の夕日」的なノスタルジックな家庭の景。「こういう年の取り方がしたい」という願望があるのか、いい句だなと思った。

じ◎【105評】菜飯を炊いている女房も白髪を見ている旦那もいいなーと思いながら気付けば特選に。この後食べるであろう菜飯の食卓も見てみたいです。

酒選外【105評】ここまでじじむさくしたなら、有季で良いんじゃないでしょうか。

酒選外【105評】【お詫びと訂正】茶飯と誤読してました!いい句!いい句!あー恥ずかしい。【以下さっき書いた赤っ恥な批判】ここまでじじむさくしたなら、有季で良いんじゃないでしょうか。

麻x【105評】女房ではなく、女房に苦労かけた俺、に焦点が合っている気がしてむむっと。おまえも見てないで手伝えや!とか言ってしまいそう……ごめん夫になる人よ。

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106 横縞と縦縞まぐわう猫の恋    舘ざんす (舘)
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妹x【106評】猫の恋そのもののことしか言っていないのが、もったいないなあと思いました。

Cx【106評】下5が猫の恋でなければ(あと一ひねりあれば)

数選外【106評】猫の縞は横と縦では言い表せない気がする。

幹◎【106評】…えろくて良いと思ったんだ。猫の交尾は首噛んでのしかかって、雌も痛がって叫んだり、と激しいイメージなので、縞と縞がもつれて、のような感じがすきで。

剣選外【106評】可愛い光景だなと思った後に、猫の縞模様の縦と横ってどういうのだろうと分からなくなって、絵など描いてみたのですが確信が持てず、取りそびれました。

ふ選外【106評】実際“まぐわう”のが猫の恋なのだろうけど、何か別の言葉だったらもうひと風景見えてきたかなあと思って選びませんでした。

千○【106評】結句が単に上二句の説明のようになっているのは、少々残念だけれど、情景をシンプルに描く美しさが感じられた。

丼選外【106評】横縞の猫って生物的に居ないだろうと逆選にしようかと思ったが猫の体勢次第ではあるのかと保留。しかし、虎猫同士のカップルもイメージしづらい。個人的なイメージだが。

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107 春日影けものに縞を刻印す    幽樂坊 (幽)
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黒○【107評】春の陽が、格子の向こうにいる「けもの」に縞模様を描いている様子が想像できて○。実際、先日そういう風景を見たところ。「けもの」は犬や猫でもいいけど、屈強な成人男子でも面白いよね。

珈○【107評】格子のむこうをゆっくり歩いていく猫と、それを見ている自分にふりそそぐ春の光。あたたかくて穏やかな時間。良い休日の一場面。

噛○【107評】スーパーの裏方、上部に明かり採りの窓がある位の暗い部屋で黙々と白いトレーに入った肉にバーコードを貼りつけてる光景が思い浮かんで。春日影の暖かさが微塵も感じられないのも良いなと。

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108 マクドの縞々のあいつみたいやな    珈琲 (珈)
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藤○【108評】ほんまやなと相槌を打ってしまうくらいに一瞬にして好感を持ってしまった。同時に、だからどうやねんと突っ込む気も失せるくらい脱力した。好感と脱力のコンビがあまりにも肌なじみがよすぎてうっかり採った。

林x【108評】例えられている対象がうまくイメージできず。「マクドの縞々のあいつ」で字数を使いすぎてしまったせいもあるかなと。単に「ドナルドの縞」とかで、何かもう少し展開してみるのはどうかな?と思いました。

数選外【108評】この文自体には、すごく好感持ってます。でも、台詞みたいで俳句になりきってない気が。

黄x【108評】「マクド」でなくても「あいつ」でなくても「みたい」でなくてもと思ったら言葉が残らなかった…ただこの言いたいことを整理して「やな」という日常語で詠めればおかしみのある面白い句になる!と思います

蓬○【108評】強引な句またがりで取れなかった句もあるのに、これは「し、ましま」のリズムに変な魅力があって取ってしまった。心なしか関西イントネーションに沿っている気も。

剣選外【108評】季語がないのとリズムが五七五になっていないので取らなかったのですが、そういうのを脇に置くと大変気になった句です。俳句っぽくなくて、こともなげに作られているように見えるのが可能性を感じさせます。

光x【108評】なんでそんな吐き捨てるような言い方すんの。ドナルドは確かに少し気持ち悪いけどそんな風に引き合いに出すのは失礼じゃないか!となんかムキになってしまった。背景の説明があまりになさすぎるなと。

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109 虎縞の腕刈りて明日はいざ春    麻衣子 (麻)
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林○【109評】正直よくわからないのだけど、「明日はいざ春」がかっこいい。…女子が毛深めの腕の毛を剃ったのだろうか? デートにそなえて? そう思うと凛々しい。

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110 ほころぶ日縞の紬に梅の帯    (夕)
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ふ○【110評】どんないいことがあったんだろうと、こちらまで勝手に嬉しくなってしまう句。おしゃれして嬉しそうにしてる人を見るのっていいよなあと。

少◎【110評】語感も、浮かぶ画も気持ちのいい句。お祝いごとかな。

智○【110評】字面もひびきもかっこよく、情景はのんびり。着物着こなしているのだろうなあ

朧x【110評】実感よりも「綺麗にこしらえた」感がつよく、着付け教室のキャッチコピー句かと思うくらい上手でコマーシャルのような句だなと思いました。「ほころぶ日」が姪っ子に目を細めたおばさんのようなのかな。

ひ○【110評】ハレの日のきりりとした情景が見えてくる。晴れて良かったねぇ、なんて他愛のない会話も見えてきそうな…。

朝○【110評】着物、それは晴れ着。ハレギ。そのハレににつかわしい衣装の美しさ。その描写のみというのに、よろこばしい気持ちを感じました。

舘◎【110評】品格が一番高いと思ったので特選。縞の紬に梅の帯なんて、普段着なのにすごくお金をかけてる。うらやましい。きっと身近にこんな装いをする素敵な方がいらしたんでしょうね。

麻○【110評】記念の日にシャッターを切るように。格好をつけようとか、ひねりを加えようとしない素直さがまぶしい。

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111 降りしきる雪や湯呑みのよろけ縞    よもぎ (蓬)
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珍○【111評】切れ字を使った本格句。季語の折り込みぶりも縞の処理の仕方も堂に入っていて、抜群に上手いと思いました。

碍○【111評】窓の外でふわふわと絶え間なく降る雪と、こたつの上の湯呑みのよろけ縞が響きあって、なんだかひとつの世界をつくっている。今回、縞が縞である必然性のある、数少ない句のひとつ。

白○【111評】なんかほっとしたんですよ…。

平◎【111評】これも手元&窓の外の重ね技なんだな。雪とよろけ縞にした一捻りと、景のブレのなさというか、ストレートな過不足のなさがキレイでした。あ、あとそうだ湯呑みの湯気もよろけ縞でバッチリだと。

智○【111評】そうか、こうやって切れを使うのか…。かっこいいです。そして、自分でへたに「よろけ縞」句をつくらなくてほんとうによかった。

凡○【111評】湯呑の縞だけ言って、室内の時間が感じられる。よろけ縞という日本語の良さ。

ひ○【111評】降りてくる雪、立ち上る湯気、湯呑みを包む指、明示しているのはよろけ縞だけなのに、いろんな縞が感じられて…きれいです!

珈○【111評】湯呑みの模様を見ていることで、雪の日の静けさが際立つ。よろけ縞の湯呑みを持っていることもかっこいい。和食器が結構高いということを知ってから、和柄の器を使う人を「大人だな」と思うようになった。

子◎【111評】窓外の白の世界と室内の湯呑みがどちらも静かで、雪が降っている時の無音の様も感じられた。「よろけ縞」ということは温かいお茶かもしくはお酒。宿の夜なのかな。

C○【111評】美しい映像がうかび、温度も感じました。こういう句が読めるようになりたいです。どうしても一本道の川柳のようになってしまいます。

噛○【111評】窓の外の遠景と手元の近景、雪の冷たさと湯呑みの熱がちゃんと対になっていて、何気ない光景なのに綺麗に句になっているのが凄い。

知○【111評】雪の中よろけ縞の湯呑みでお茶を飲む。かっこいい。

雪○【111評】窓の外で上から降ってくる雪と、手元にある湯のみから立ち上がる湯気(に続くようなよろけ縞)の、方向性の対比と温度の対比が、流れの良い語のつながりですんなりとまとまっていて、美しいです。

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112 春遠き普天間星と縞揺れる    平ん (平)
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珍○【112評】まったく政治色を抜きにして、星条旗のはためく様を詠んだ句として選。でもそんなことないですよね。「春遠き」だしな。「普天間」だしな。

碍x【112評】俳句で時事問題とか政治を持ち出すと、気取った川柳みたいになっちゃってビミョーです。それに、「春遠き」と「普天間」がそのまんまなのに、「星と縞」。あえて「星条旗」といわない理由がなくてはいけない。

栗○【112評】スターズ・アンド・ストライプス。先日沖縄で星のキレイさに感嘆したばかりのせいか、星条旗の星と、普天間の空の星のコントラストが映像としてぐっときた。政治ではあるがすでに日本の風景でもある。矛盾もまた現実

麻○【112評】最初は、春・天・星などの字だけ見てぼんやり「きれいな句だなー」なんて思っていたのが意味がわかった途端「……とか言ってる場合じゃねェ!」と。ピントの合う感じや字面の美しさとの落差が良いと思いました。

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113 春光のいくつの波で海の縞    雪 (雪)
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栗選外【113評】波と海がつきすぎ、っていうの?春の海のさざ波は、海といわずとも伝わるから、縞に別の形容がほしかった。海の縞、から先に思いついちゃったのだろう。

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114 地図に縞春の招待状来たり    トモサダ (友)
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丼○【114評】等圧線が密になって春一番の予感がする天気図。語りすぎないのがいい感じ。

栗x【114評】桜前線を伝えるニュースの常套句を、そのまま詠んだだけに感じられた。優等生の中学生が、学校の俳句コンクールに出しそう(本当に中学生だったらごめんね)。もう少し、意外な言葉があればいいなあ。

噛○【114評】天気図を縞と捉えたなかで一番好きです。お天気キャスターが真面目な顔して天気図指しながら「春の招待状が来ましたね。」って言って欲しい。

光○【114評】天気図の縞で春の訪れを予感するのは素直に綺麗でいいんだけど、「招待状」が優等生過ぎる。別の言葉でぐっと良くなりそう。

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115 春風やくらへおいらの縞瑪瑙    廣島屋 (廣)
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虎○【115評】「おいらの」がいいかどうかは悩ましいところでしょうか。「わたしの」じゃなぜいけなかったのかは疑問なのですが、縞瑪瑙をぶつけるという動作のインパクトのほうが上回り、採らせていただきました。

平選外【115評】なんだかわからないけど好きでした。なんだかわからないので採れませんでしたが、縞瑪瑙になんかそういうおまじないがあるのでしょうか。

幹x【115評】季語も中七も良かった、けれど縞瑪瑙であれ?となってしまってとれず。なんで?を振り払えなかった。リズムも好きでずっと気になって最後まで残していたのですが。

幽○【115評】縞瑪瑙句を両方採ってしまいました。「おいらの縞瑪瑙」なんて投げつけてもいかにも効果なさそうで良い。春風の中でののんびりした様子も含めて、ただひたすらねむい。

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116 (無効)恋猫や雄に気高き化膿あり    ジョシュー (助)
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118 しましまのしっぽ天指し蝶とまれ    なご (和)
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珍○【118評】前回あれだけ言っておいて取るよ猫句。いや、「蝶とまれ」がいいなと。止まらないから蝶は尻尾には。トンボと違って。その寸止め感にグッときた。

穂x【118評】なんてかわいいらしい! 亜土ちゃんの絵みたい! でも猫は「蝶とまれ」と願うほど辛抱強くなさそうだから猫を見てる側の言葉か、となるとちょっとファンシー過ぎるかなという気がして。

炭○【118評】可愛いものに弱いのか「すっ」と取った句。NHKの深夜にやってた「映像散歩」で、こういうの観たことあります。

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119 大理石縞なぞる指春近し    みつん (光)
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ひ○【119評】冷たいものへの触感、光沢物と身体の対比がきれい。温度も伝わってる様です。

炭○【119評】会社説明会に来る学生を待つ、大企業の秘書の心境が浮かびました。「今年はどんな子がやってくるのかしら…。」と、大理石をなぞる指。ぜったいドS秘書。

雪○【119評】指が好きなんです(身もふたもない)。特に冷たいものを触っている指はいいものです。大理石の冷たさが「春近し」と響きあって、かすかなぬくもりまで想像が及びました。

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120 すれ違う度の干渉縞や冬の首都    鯖好き夫 (鯖)
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好x【120評】875で読むのかなあ。句型としてそう特殊ではないけど、ここでは「の」が腰折れ感の原因でしょう。「すれ違う度の干渉縞や冬」だったら○にしたと思う。

ぽx【120評】干渉縞という言葉を初めて知りました。どうも「度の」が引っかかってしまって、「足袋の」だったらしっくりくるかもしれないなぁと思いあえて逆選。「首都」はかっこいいけれど、少し大げさかなとも思いました。

科○【120評】すれ違い通信? それとも、他人が気に障るということ? どちらにしても、これは現代ならではの情緒だ。特選にしようか迷ったけど、字余りが気になって並に。

凡○【120評】投句する際ルビはカッコ書きでつけていいんですよ。それでも無理あるけど。対象をしっかり言えてない(ほどすれ違う人数が多い)ことも含め、モアレは首都でだけ感じ取れることと思わせられた

飼×【120評】そうか!干渉縞はモアレと読むのか。好きな句なのでルビを振ってくれていたら取っていた。残念。←いやお前が無知なだけだって。

幽x【120評】そうか干渉縞ってモアレってよませるのか。いい情景を描いてると思うのだけど、ぎこちなさがあったので……

るx【120評】そうかー、モアレか。それ分かってれば違う選だったかも。「冬の首都」と干渉縞の取り合わせはとても寒々しくて好き。

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121 寒風や縞馬の縞動かざる    好餌 (好)
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鯖○【121評】アフリカから連れてこられてな。吹きっさらしのとこへな。かわいそうにな。とか思っても震えてるのはこっちで奴ら平気な顔でジッとしてるよな。大型動物も大概得体が知れんとこあるよな。

丼○【121評】シマウマ句の中で動きを止めることで冬を感じさせるというのが、うまいなあと。動と静を感じさせる季語もいいと思いました。

珍○【121評】シマウマが動かないということは縞が動かないことだよな、と気づかされ、その説得力に感心して選。きっとこちらが見ている限り微動だにしないんだろうな。

碍○【121評】シマウマはアフリカ生まれだけど、寒風にも強いのだ。じっと佇んで、縞も動かない。俳句の中のシマウマは、我慢強い姿がよく似合う。シマウマの意外な魅力に気づかされる句。

茅◎【121評】縞がばしっと目に飛び込んできてかっこいい。動物ってびっくりするほど止まってるとき確かにある。

穂○【121評】群れて動いてるときれいな縞に見えないこともある。でも動かないならまさにくっきりと縞柄が浮かび上がります。「寒風や」で動かない必然もある。「縞馬」「縞」「ざる」のサ行連続も気持ちいい。

波○【121評】特に深読みする点は何もない句だが、係り結びがきいていて、まっすぐに作った句に思えて、そうした心意気も私の好みでした。

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122 春日傘オカピ模様を縞として    渡邉朧 (朧)
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123 縞馬の白のあたりが冴え返る    レゴ黒木 (黒)
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酒◎【123評】192句(!)の中で唯一、ちょっと声を出して笑ってしまった。「冴え返る」のこんな使い方もあるんですね。「のあたり」の投げやりさも気持ちよかったです。

廣○【123評】いや「縞馬の白」つて結構あるよねあそこ全部? と突つ込みたくなる。あたり、といふぼんやりしたいひ方がよかつた。

好○【123評】こういう季語の使い方は反則すれすれだけど、季語じゃないと思って読めばいいんです。冬の動物園の写生句として「できてる」句。

数○【123評】眩しい縞馬。気温の低い朝に、朝日に照らされて輝く縞馬が見えました。この縞馬…凛としていそう。

虎◎【123評】縞馬句、複数あった中で一番「冴え返」ってみえました。白い部分が冬の日に輝いて、真冬の動物園で白い鼻息をもらす縞馬の姿が目に見えるようでした。

子○【123評】色は光の反射。白は強い色。それが「冴え返る」に合っていていい。

千○【123評】白のあたり、って、限定できているようで実は広い。想像すると輝かしいものに思えた。寒さが似合う句。冴え返る、の使い方として正しいのかは気になる。

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124 縞柄の幕どこからか卒業式    ミホノフ (穂)
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剣○【124評】「どこからか」は、音もなくとつぜんすーっと降りてきて驚いた、というニュアンスでしょうか。これも、他の誰とも違う縞模様のものを持ってきたところが印象に残りました。

朧○【124評】本当にあの、かさばる大きなものはどこにしまってあって誰が出してどうやってきれいに吊るすんだろう。あの1日のために、ねえ。

ち○【124評】私は幕でいったん切って読みました。壇上に幕をひくだけで一挙に「式感」。いつもの体育館に、卒業式が降って湧いたような感じを味わいました。

黄○【124評】「どこからか」が妙ですね。縞柄(紅白)の幕がある所と卒業式は別の所?「見える」景色と「聞こえる」場所は違うのか?不思議な空間に嵌ったままだ…

鶴○【124評】学生にとっては幕がどこにしまってあるかなんてどうでもいいこと。幕も含めて学校という記号だから。でも外からみると、ちゃんと普段は物置にあって、先生たちが出してくるんですね。幕も花瓶もでっかいストーブも。

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125 文字列が縞と見えたり春の雨    紀野珍 (珍)
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丼○【125評】うるさいほどの雨だと諦める気にもなるのですが、小雨だと読書を続けてしまいます。でも全然頭に入ってなかった、あれこの人いつ殺されたっけ、みたいな。

地○【125評】わたしは本ではなくPCの文字だと思ってた。プログラムとかそんなの。曇り空は見えづらい。本だったとしたら、読みづらいけど、いい休日に思えてきた。

白○【125評】画面の中の文字が、ふとそう見えたのかもとも思いつつ、雨自体がそうみえる瞬間があるのかな、とも。映画「マトリックス」にでてきそうな映像を思いました。

平○【125評】読書中に降ってきた雨に気を取られ、視線のフォーカスは本から窓の外へ。さっきまで縦縞だった雨は雨粒に、文章だった物は縦縞に…。お題を巧く使った映像的な表現が好きです。

珈○【125評】「文字列」だなんてさては同業者ではと警戒しながらも、無機質なコードから意識が離れて、窓の外の雨を音やにおいや肌で感じている様子がいいです。このあとふと我に返りコーヒーを入れに立ち上がりそうだな。

栗◎【125評】すぐに『マトリックス』『攻殻機動隊』の映像が浮かんだ。そこに春の雨が重なると、すべてが流れていく無常も感じ、重層的に。仕事で目が疲れてふと窓を見たら、瞼の残像が流れたのか。現代的な美を感じて特選に。

子○【125評】「マトリックス」の緑の文字列を思い出した。あれも情報を浴びるような映像だったので、続いて「雨」がでて来て、そうそう!と思った。

黄○【125評】「春の雨」と「文字列」。詩集や句集を読んでいたのか。(長い文章ではないんだろうな)もう間もなく眠りに落ちます。ゆったりした時間が感じられてよいです。

噛x【125評】見えるじゃなくて、なるだったらとってたと思う。せっかく春の雨なのだから、濡れてインクが滲んで縞になってる状況だったらいいのにと。

光○【125評】コーディングしてる時に確かに感じること。その横縞と雨の縦縞が静かに重なっていて美しかった。

波○【125評】ああ、文字列、縞に見えるな、という視点を評価。コンピューターのお仕事されてるんですかね。この視点を生かしてでも、もっと良い句に出来そうだ。

森選外【125評】第一回の「ひらがなが模様のようにみえた頃」を思い出した。文字が何かに見えたシリーズ。(この句会においての)発想の近しさを感じたが、季語「春の雨」が効いてて良いと思う。どちらも好きな句

じ○【125評】目が疲れてきたころに窓の外の雨を見たり音を聞いたり。うらやましい光景。

雪○【125評】春の雨の細い筋に惹かれて、文字の方も縦縞なんだろうな、と自然に思えます。少しの集中力のなさと、春雨のけだるさがとてもよく似合う。雨音も聴こえます。無理がなくて好きな句です。

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126 薄氷や裏地の縞の飽きる頃    寝る子 (寝)
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廣○【126評】ああ裏地か! といふ驚きでいただきました。

妹○【126評】そろそろコート脱ぎたいですよね。まだ寒いし、その寒さは確実にコートのおかげで乗り切れているんだけど、そろそろ春っぽい格好がしたい。

珍○【126評】季節の巡りを実感させて、「使え」そうな俳句の見本のような句。すてきです。

碍○【126評】裏地の縞模様がかわいくて買ったコート。ひと冬着たら、なんだか飽きてきちゃった。でもそのころには、あんなに厚かった氷が薄くなってて、もう春も近い。ひと冬の時間の流れを一瞬のうちに切り取った句。

白○【126評】コートは裏地で選ぶフシもあるのでドキッと。縞のももちろん持ってる。まだ飽きてないけど飽きる日がくるのかな。季節で心も変わるのか、とこわくなる。

虎○【126評】裏地の柄を見飽きる、というのは斬新な視点ですごく惹かれました。薄氷ということは春が近いのですね。ゆるく見える内容なのに、語選びにゆらぐ余地がまるでない(気がする)。いい句だなぁ(ぽかーん)。

科○【126評】「裏地の縞」は、自分だけが知っていて、こっそり気に入っているものだ。飽きるのも自分。薄氷のはかなさが、その自意識(孤独?)と合っている。

朧○【126評】「薄氷」と「裏地に飽きる」は当然すぎ(先生の言う「つく」というのはこれか)なのでしょうが、ふだん使いのコートの裏地が自分も縞で飽きてきてるので選。

穂◎【126評】春から冬への変わり目をさらりと表現して二月の季節感が一番出てました。「裏地」はもちろん「飽きる」からも冬の重さが読み取れる。「飽きる」のは春でも夏でも秋でもなく、たしかに冬だなと。

子○【126評】季節の変わり目に少し早く新しい服を着たくなる。かわいらしい句だと思いました。裏地を気にする程おしゃれさんならなおさら。

黄○【126評】「薄氷」と「コート・飽きる」だとつきすぎな気がして。勝手にかなりくたびれた背広を後生大事に着ているんだろうと。そもそもコート持っていない。この背広の袖を通すとき田舎へ帰るのだ。家族の元へ。

光○【126評】もう冬うんざり。春早く来て!という素直な気持ちに好感が持てた。また半年後にはその縞が恋しくなるのね。時間がゆっくり回っていくのも感じられる。

炭○【126評】気候と心境、二つの事柄で冬の終わりを感じ取らせていて、俳句らしい俳句と思いました。「つき過ぎ」なのかもしれないですが、ここまで言われたらもはや冬も終わらざるを得ない。

千○【126評】季節の移り変わりを、上手に表している句だと思った。飽きる、しか言っていないけれど、毎日の生活とか、通勤時の景色とかまで思いを馳せてしまう。

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127 等高線の縞さざめかせ春の風    はやし (林)
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虎○【127評】かわいくてキュンキュンしました。それに、そのキュンキュン以上に、理知的な句でもあるなぁと思いました。675、と、よどみなく西高東低の風が吹いててすごーい。(←縦書きにしたら意味ないけど)

平○【127評】等高線が縞になるような所ったら山地で、春の風がさざめかす物ったら草原。縞とさざめくのイメージも近い。等高線と風っていう離れた物が景と言葉選びでスムーズに繋がる。そのスムーズ加減も春の風っぽくて○。

朧◎【127評】山の木の葉や枝を「等高線の縞」と言うセンス!地図愛にぐっときて特選。こうゆうたとえ方は大好きです。

子x【127評】等高線の縞といったら地図が浮かんだ。それがさざめくのは地図をひろげているから?ということは、この人はどこにいるのか?と、わからなくなり×にしました。等高線の縞がさざめくのはとてもすきなのですが

C○【127評】ロマンチックな理系句に弱いです。印象は新学期だな。春、授業中に地図を開いている時に窓から風が。桜が咲いていそう(咲いていて欲しい)。

る○【127評】等高線の縞は縞の中でもかなり好きな縞に入る。(自分内で)この時期に春を感じさせるという意味でふつうの写生句より無理がないと感じる意味でもポイント高い。(むずかしいやり方を成功させたという点で)

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128 休日の午後のヨコシマカットソー    尓々 (に)
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ふ○【128評】気だるさとちょっとのエロさがあっていいなあと思います。天気いい日に白いカーテン閉め切ってる感じ。服も昨日から床に脱ぎ捨てっぱなし。

地x【128評】もうちょっと工夫して!季語は!(えらそうですまん)

朝○【128評】いちおう配達とかもくるかもしれないから最低限の格好は。ヨコシマカットソーが、ケの格好になれているこの今の財力や社会的ポジション。大人になったのだなあと。そうなれば休日の午後の意味あいも。

平選外【128評】これ多分広末ではないんでしょうけど、縞といえば「ボーダーのTシャツの裾から見えるおへそ」なんです。休日の午後ってあたりもマジでkoiする5秒前。チャンス待ち抜け駆け狙うあたり彼女ヨコシマだし。