第三回【なんでしょう句会】文庫評 弐

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
192 長風呂やふやけて厚い富士日記    あま栗 (ん)
酒 (2 点)
"酒酒,幹,る,波,白,朧,穂,夕,地,栗,帽,く,藤,雪,千,友 (17 点)"
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
幹◯【評】風呂読書派としては、ふやけた・ぱりぱりの・波打つ本は愛深き本なのです。そしてなるべく途中でやめても良い本をチョイス。富士日記は最適。

酒◎【評】富士日記が「チョー座ってる」! 長風呂読書の「平熱な多幸感」を体現するのにこれほど適切な書名は他に思いつきません。ふやけてデレッとした中公文庫の鳥まで見えた!ただ、季語入れたくなる句だな、とも。

波◯【評】この座は富士日記が好きな人が多そうだし、風呂も好きそうだし、良く出来ているだけでなく、座を見越した戦略的な句で、それでいてさりげなくみせている。すごいぜ!

朧◯【評】現実では風呂で本ふやかさないように読むけど俳句のなかではふやけていてもいいや。ふやけていたほうがいいや。

穂◯【評】特選と迷いました。通して読んだり好きなページだけ読んだりたまたま開いたページを読んだり、さんざんめくった富士日記。お風呂読書にぴったりですよね。文庫のイメージ、どんぴしゃり。

夕◯【評】ふやけてバリバリするのが嫌いなのでお風呂で文庫本を読む事が出来ないのですがそれに愛おしさを持つようなこの句にうらやましさを感じました。

る◯【評】世の中には風呂で読みたい本と読みたくない本がある。富士日記は風呂で読みたい本。でも「厚い」まで言うべきだったのかは疑問。

地◯【評】「富士日記」はお風呂にぴったりだ。この人、お風呂用と普通のと2組持ってるよ。それくらい「富士日記」が好きなの。わたしもほんとはふやかしたくないけど、ここではふやけてるほうが、それらしくていい。

栗◯【評】長風呂で文庫読む派としては、どこから読んでもいい、先があまり気にならない(のぼせなくていい)日記文学は最適。おそらく詠み手は女性だろうね。ハードカバーと違い、紙がふやけるのも文庫らしい。

帽◯【評】上五が少々事情を説明し過ぎ。中七下五の江戸俳諧調を買った。書名に二重鉤括弧をつけないのもこの構文なら活きる。うまい句です。私も風呂で『富士日記』読んだよ。

く◯【評】文庫だからふやけてもよし、ってことか。『富士日記』はとてもすきな本なので、なに?風呂で?(もったいない)と思ってしまって並選です。

藤◯【評】お風呂読書を俳句にしたとき、さまになる本は限られていて、その一つがまさに「富士日記」だと思う。「長風呂」ともぴったり。長風呂の友、というよりも富士日記に引きずられて長風呂になりそう。

雪◯【評】お風呂用と普通用二組持ってます(自分の話)。厚さを言ってるのも好きです。下巻かな。お風呂で気持ちのよい文章を読む幸福感が呼び起こされて、並選に頂きました。湯+富士もいい取り合わせ。

千◯【評】長風呂と富士日記の取り合わせ、いいなぁー。本をふやけさせてしまうのは、よくないことのはずなのに、愛情が伝わってくる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
193 文庫持ってロマンスカーで行きましょか    みつん (光)
芽 (1 点)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
芽◯【評】いざ、箱根へ!荷造りしつつ、「本は…これで良いかな」といそいそと…。でも車窓は楽しい温泉も良い遊ぶ所もあり食事も満喫して布団はふかふか、結局本は一度も開かず帰宅か、と。