第二回【なんでしょう句会】初夢評

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52 初夢や見そめし人の鐘をつく 
<特選> 炭 (2 点) <並選> 炭炭,朝,里,C,芽,裏 (7 点)
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C◯【評】濁点が入らない句は好きです。除夜の鐘を一緒に撞いて、明けて早々、夢で再生させているのでしょうか?どんだけ好きなの?

里◯【評】何度も読みかえすうちに良くなって来た句。「鐘」は少女漫画的に言えば、一目惚れの描写。見初めた相手も自分に惚れさせるという都合の良い夢を、初夢で見れたという縁起の良さに1票。

芽◯【評】除夜の鐘をつきに行ったらそこに素敵な人が!boy meets girl …そして初夢に相手が出て来たのなら、相手も自分の事を思ってくれている…はず…と。

炭◎【評】思い人への気持ちが夢となって現れたのか。夢では「鐘をついて」伝わったのだろうけど、それは夢。しかも初夢なのだから、今年の一年はその人に向かって行かねばらないな。少女が鐘をつく、少しシュールな景が浮かんで面白くて特選。

崖 【評】エロい句である。そこがいい。ついて、ついて、突きまくって欲しい。それが初夢であればなおのこと。覚醒した無意識を解き放った作者に、草田男を彷彿とさせる勢いを感じた

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53 初夢のバンドやベース見覚えなし 
<特選> <並選> 好,朝,重,凡,巻 (5 点)
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好◯【評】バンドの夢はときどき見ます。演奏していることもあるし観客のこともある。で、こういうことってあるんですよ!まるで自分の句みたいだなあ。

巻◯【評】夢はいつも他愛がなく、しかし恐ろしくもあって、そんな機構のそんな機微が、見知らぬベースマン(ウーマン?)をかたどって降りてくる。初夢のバンドなんていう賑々しさにまぎれて。これはやっぱり恐ろしい。

凡◯【評】やの位置で、みた夢(バンド演奏)の臨場感が読者まで持ち越された(気がする)。

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54 字の中に初夢捨てけりモカ・マタリ 
<特選> <並選> 
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55 初夢は四畳半ライブ罠!罠! 
<特選> 茅 (2 点) <並選> 茅茅 (2 点)
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茅◎【評】勢いに押されました。魚眼レンズで何にもない四畳半にギターもって(たぶん裸で)叫ぶ男(自分)の姿。罠はwanna?バカ青春っぽくて意外といい夢なんじゃないでしょうか。

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56 初夢や言い訳ばかり思いつく 
<特選> <並選> く,子,鯖,丼,芽,夕,裏 (7 点)
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く◯【評】たぶん、意に添わない内容の初夢だったんだよね。「ハザード出したまんま駐車しててバッテリー上がった夢」だったのに、夢でやったから現実では絶対やるはずない、と安心したり(わたしのことです)。

丼◯【評】仕事で大失敗した夢を見たあと、その言い訳が浮かんできて楽しくないお正月。共感します。言い訳上手になったんだから恐れず邁進するのが吉と前向きにいきましょう。

子◯【評】夜中に、または早朝に起きて、いや、今のは初夢じゃなくて、ちゃんと朝見るやつが初夢だから、とかいいながらまた寝てしまいそう。きっと内容がよくなかったのでしょう。

鯖◯【評】淫夢かな。いつもそんな夢みないのによりによって初夢に…

夕◯【評】思ったような縁起のいい夢を見れなかったのかそれどころか踏んだり蹴ったりな夢だったのか。「なんか飛んでたような気がするのは鷹だったはず!」「あんなにひどい目にあったんだからきっと逆夢!」

芽◯【評】初夢の内容を同居者に聞かれて。話したは良いけれど何やら疑惑の眼差しを向けられ「いや、そんなんじゃないから」などと言ってみたりします。正直に言うんじゃなかった、と。

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57 初夢の色は何色あたしは黒 
<特選> る,黒 (4 点) <並選> るる,黒黒,ち,酒,茅,ひ,寝,炭 (10 点)
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ひ◯【評】「だってあたし、夢なんて滅多に見ないもの」なんて言い草を妄想…夜と朝とが暗転で切り替わる様な健康的な暮らし振り。逆に、「だって元旦は、いっつも飲み過ぎちゃって」なんてのも可愛らしいなぁ。

る◎【評】出ました「質問しといて相手の答えは聞かずに自分のことだけ断言する女」!ハルヒかお前は。ずるいと思いつつそんな句を特選に選ばざるを得ない自分。夢の色が黒というのも意外でいい。

寝◯【評】夢の内容では無く色を聞かれて戸惑う人に、間髪をいれずに「あたしは黒」と答える。この人の奔放さに好感をもちました。「私」ではなく「あたし」がしっくりくる人。

黒◎【評】そんなこと聞かれても...というこちら側の戸惑いを放置して「あたしは黒」と畳み掛けているのが面白いです。夢の色を問うってありそうでないシチュエーション。小悪魔系ってこういうことか!

茅◯【評】椿鬼奴が真似するところの桃井かおりが言いそう。こういう人はぜったい「あたし」っていいますね。

ち◯【評】自分勝手感満載。妙な質問を投げて相手を散瞳させておいて、あたしは黒、と畳み掛けるグルーヴ感に惹きつけられました。いろんな色に置きかえてみると、いろんな女に変身して楽しめますよ!皆様もぜひ。

酒◯【評】黒も、夢を色で問う事も、かっこつけで、ガールだ。ちょっとめんどくさくて吸引力のある女性が浮かぶ(作者を前に何言ってんだ)。助詞で字余るのがすごく惜しい。ここまで口語なら「あたし黒」でいい。韻律を優先したい。

炭◯【評】自分から訊いておいて先に答えるなよ!と思うや「黒」と返答に困る色を言われてしまう。思いの塊をボディーに食らいました。ノックアウト。おせっかいでありますが、下五の「は」が無い方がすっきりしたかと。

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58 初夢を見のがし昼寝うとうとと 
<特選> <並選> 屁 (1 点)
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屁◯【【評】あわよくば昼寝で初夢を。というかわいらしい浅ましさが読み取れて◯。

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59 初夢のヒヨコの成長早すぎる 
<特選> 里,幽,知 (6 点) <並選> 里里,幽幽,知知,妹,ち,朧,科,白,彗,巻 (13 点)
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妹◯【評】ヒヨコから鶏への成長、を通り越して、巨大化すらしてそう。ぐんぐん育つ様子がパッと目に浮かんで、夢に入り込めた気がした。『動物のお医者さん』のヒヨちゃんみたいなやつかな。

白◯【評】ちょっと期待も持つであろう初夢なのに、この観察眼。いいことわるいことすっとばして、そこに注目しているのが素敵。

巻◯【評】古い映画のこま落としみたいなちょこまかしたヒヨコが目に浮かぶ。それが急速にグロテスクなニワトリになるのはこわい。あるいはヒヨコのかたちのまま天井を破るようなふうでもあって。それはもっとこわい。

知◎【評】夢の中では10年くらい一気に飛んだりする。黄色いかわいいヒヨコが急にニワトリになってしまったのか。時間の急な進み具合をヒヨコで表現しているのがよいと思いました。

ち◯【評】初夢って何かの意味付けをしたくなります。そこをすっとばしているドライ感や世間とのズレ感が好き。寝癖とか直さない人っぽい。ほむほむっぽい。

朧◯【評】口調が日常過ぎるけど、早すぎるヒヨコの成長を利口そうに言ってもなあ。夢って不条理の塊で、そのまんまでいいのだな、と素直に。

幽◎【評】めでたくもないし、面白くも ない初夢を、最大限驚いてみた句。このどうでもよさが素晴らしい。

科◯【評】「ヒヨコ」という可愛らしい語を使っていながら初夢らしからぬグロテスクなイメージを出していて、アンバランスなのが良い。よく考えたらグロいんじゃなくてやっぱりめでたいのか?と思わせるところも上手い。

里◎【評】ヒヨコがヒヨコのままどんどん大きくなり、最終的にはゴジラサイズに。かわいいのに、悪夢。

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60 正座して父の初夢採点す 
<特選> 屁,飼 (4 点) <並選> 屁屁,飼飼,帽,好,林,波,甘,丼,雪,科,幽,C,藤,寝,重,芽,は,じ,千,裏 (22 点)
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雪◯【評】家族揃って正座して、というかしこまったお正月の風景で、初夢の採点というのが変で面白い。お父さんは、床の間を背に新年の抱負を言わせたりする役目だから、ここで採点されるのも「父」じゃなきゃいけ なかった句。

好◯【評】これは福田和也先生のことか?スーツ着て「お父様、その初夢は63点!」って言うの。正座して、がすばらしいです。

林◯【評】朝食前にみんなで神妙な顔して正座→初夢を見た人が発表→家族がクールに採点(項目はフィギュアスケートっぽい感じで)。もしや正月恒例の儀式なのか。お父さんはいい点取れたのだろうか。

C◯【評】縁起がいいと大喜びのお父さん。採点者(息子か娘かで採点軸が変わりそう)正座しているところが怖い。喜んでいる人は喜ばせておきましょうよ。

じ◯【評】一種の遊びなのか。なんか得点表とかルールとかありそう。富士鷹ナスの高得点やらなんやら。語る父も聞く子も好き。

甘◯【評】家族一同正座して食卓に向かい、黙って父のつまらない話を聞かなくちゃいけない状況。そりゃ頭の中で勝手に採点する位しかないよ。父親の話って得てして面白みがないって事を再認識。でも聞いてあげる優しさが好き。

帽◯【評】夢まで採点されるのか。お父さんってたいへんだな! でもきっと愛されてるよね。

寝◯【評】初夢に対する真剣さが滑稽で好きです。家族の中だけのルールってありますよね。きっとこの家族にとっては当たり前のこと。大人になってその滑稽さに薄々気付いているけど、ルールだから今年も正座して…。

丼◯【評】微笑ましいですね、父と初夢について語り採点するって。多分、若干辛めの点数をつけることが親子円満の秘訣なんじゃないかと思います。初夢が上五への収まりがいい中で、ずらして無理がない点もいいです。

波◯【評】オモシロ俳句なのだが、さして嫌味じゃなく思えたのは、「正座」する礼儀正しさとか、「採点」をするような関係が「父」との間にあるからだろう。つまり、それなりに大人の句なのかな。

屁◎【評】我が家の毎年の恒例行事だったりするのかな。お、去年を少し上回ったね。とか言って。正月って、その家のローカルルール満載の行事だってことを思い出させてくれました。

飼◎【評】正座という言葉に緊張感があるが、やってることは傍から見ると笑える行為。でも本人たちにとっては大事なんだろう。うっかり低い点数付けたらお年玉が減らされそうだし。

幽◯【評】書き初めと初夢が同じ位置付けと いうのは、いわれてみればありえると思わされました。父に対する呆れと愛情も感じられ ていい句ですね。

千◯【評】おもしろさと真面目さがバランス良く同居している。家族というものの独自性、奇妙さも表されている気がして。横で見てみたい。

藤◯【評】まだ寝ているお父さんの枕元で正座して採点表まで用意して待っている。たぶんお父さん起きても夢おぼえてないけどね。

科◯【評】初夢と普通の夢の違いってなんだろうと考えて、初夢はその「めでたさレベル」を評価される、と気付いた。まさに初夢は、解釈されるだけでなく「採点」されるものなのだなあと、この句に気付かされた。

芽◯【評】おせちを前にお父様から一言…。お年玉もある事だし神妙に聞き、「良いですねぇ、それ」と。とても嬉しそうな父親の顔が浮かんできます。

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61 初夢がみる初夢はチョモランマ 
<特選> <並選> る,彗 (2 点)
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る◯【評】初夢が夢を見るという発想はなかった。誰の夢も追いかけてこない世界最高峰の山の頂上で自分?だけの夢を見る初夢という図はサンタさんの日常はどうなっているのか的に興味をそそる。

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62 初夢に眼鏡忘れて来たりけり 
<特選> 森,妹,波,重,鶴,崖 (12 点) <並選> 森森,妹妹,波波,重重,鶴鶴,崖崖,帽,蓬,好,朝,ち,黄,里,少,白,藤,寝,栗,凡,は,光,地,裏 (29 点)
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森◎【評】よりによって…ど、ドンマイ!でも初夢ってそんなものかも知らんなとすごく納得。僕は眼鏡かけたままで寝てしまうことしばしばですので大丈夫です(キリッ。来たりけりに夢と現の臨場感が出ていて良いと思いました。

妹◎【評】かけっぱなしで寝落ちして、寝てる間に眼鏡をどこやったかわかんなくしたのは自分のウッカリなのに、「初夢に眼鏡忘れて来た」って言い方、格好良くて、なんかズルい。わたしこういうひとによく引っかかる。

少◯【評】眠りから覚めて、めがねの無い状況にあわてている様が見て取れる。まだ、夢と地続きなんだろうな。この後の気恥ずかしさも感じて。

蓬◯【評】「それだけのことをわざわざ俳句にして言う」のお手本のような句だなあと。かっこいい完了形「たりけり」、そこに至るまでのリズムのよさに惚れました。

好◯【評】夢の中に何かを忘れる、というのは類想があるかもしれないけど、眼鏡というのが実にリアル。私は老眼鏡を首からぶら下げて寝ています(ホント)。

白◯【評】夢と現実の境がなくて大丈夫? なんてこともなく、たぶんこのひとは洒落で言ってる。でも、もしかしたらと思わせる初夢のちから。

栗◯【評】とても素敵な夢を見ているはずなのに、よく見えない。目の前にいるのは、イケメンなのか否?確かめたくて夢の中で眼鏡を探す、ケメコみたい。気合いを入れた初夢の顛末がユーモラス。

崖◎【評】SF俳句と勝手に解釈しています。特選です、これ。来たりけり、で、初夢が遠のく感じも決まってます。関係ないけど(あるいは、あるのか)、インセプション面白かった。

帽◯【評】夢のなかで眼鏡をはずすようなことをしたんだね。色っぽい方向と取るか老眼と取るか。拙作〈覚めぎはに蝌蚪をつかんできたらしい〉を勝手に想起した。

寝◯【評】一番いいところがぼやっとして見えなかったんでしょうか。そういう夢らしさを眼鏡を忘れたと言ってしまう洒落心がいいなぁと思いました。

波◎【評】夢の中と、夢から覚めた現実との両方が詠み込まれている。何かを見るための道具である眼鏡の存在が、さらに夢と現の境界のあやふやさをクローズアップしているようだ。句はシンプルなのに、すごい!

黄◯【評】「初夢」の季語を上手く活かしていて面白いですね!これがただの「夢」であれば少しお疲れのご様子かと…。眼鏡って夢に置き忘れる事もあるかもという可笑しみ。お正月のおめでたさが感じられ愛すべき句です

凡◯【評】まあ、嘘なんだろうけどね(なくしただけなんだろう)。俳句の特性の一つの「うそぶける」良さが感じられます。……「俳句のうそぶける点について詳しく」とか聞かないで。フィーリングで喋ってるから。

光◯【評】目覚めてまだ夢と現実があやふやな状態で、少し慌てる。あのかんじがのどかな年始を想起させて、面白い。ちょっと「はずした」ような表現がかっこいいなあとも。

地◯【評】「メガネメガネメガネ…」ですね。実際枕元にメガネがないと、起きた時に困るくらいに見えてない。視力が悪くても夢ははっきり見えるから、起きた時の見え方とのギャップを感じておもしろいです。

ち◯【評】目覚めた直後の、夢と現実の境い目感が好きです。余裕のある感じ。こういう人とつきあいたいです…(*´ρ`*)

鶴◎【評】惚れてまうやろー!で特選。忘れてきたのが眼鏡という自分の一部(視力)のものなのも絶妙でドキドキ。年末のどさくさで失くしたのかもしれないし、でももしかしたら…?にくいです。

藤◯【評】この人は目が悪いのです。夢のなかは視力関係ないから便利ですよね。長い長い初夢を見て目覚めると、ものの輪郭がぼんやりしているいつもの、懐かしい視界。リアルの眼鏡をこれから探す気怠さがよく感じられます。

里◯【評】眼鏡を忘れた理由は、寝る前に外したからじゃない。きっと普段からおっちょこちょいなのが夢にも出たんだ(きめつけ)! すごい美人がセクシーな衣装で現れたけど、見えない。残念(笑)

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63 初夢は霧笛の中を進む船 
<特選> <並選> 好,重,助 (3 点)
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好◯【評】新年になると港の船はいっせいに霧笛を鳴らすんですよね。そのことを踏まえて読むと実に味わい深い句です。

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64 初夢を貘に喰はせて猫の爪 
<特選> <並選> 里,大,崖 (3 点)
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崖◯【評】獏出しちゃいましたね(笑)でも採らせていただきました。猫の爪のセンスが良かった

里◯【評】悪夢を喰らうという獏。さらに飼い猫に引っ掻かせて追い討ちをかけるほど、悪い夢だったのか…。情景の見えやすい句が多い中で、少し引っかかり、でも理解でき、語呂も良かったので、選びました。

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65 初夢を覚えてないの月曜日 
<特選> <並選> 子,ひ (2 点)
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ひ◯【評】三箇日なのに仕事。世間様が遊んでる時に働く矜持が伺えました。または、少ない休みを目一杯楽しんだツケなのか。いずれにしろ来年は書けない句。それも読みたいな。

子◯【評】この人は2日から仕事なのだなぁ。初夢福袋とか売りながら、自分の初夢は、そういえば見てないか、と。

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66 初夢の故郷おぼろ女衒宿 
<特選> <並選> 林 (1 点)
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林◯【評】誘拐され、異郷へ売り飛ばされて遊女になった子たちが初夢に見るのは、雪降る故郷のもう会えないおっ父とおっ母。時代劇っぽい、アンニュイな色気。

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67 初夢といえども夢の話禁止 
<特選> 帽 (2 点) <並選> 帽帽,碍,鯖 (4 点)
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碍◯【評】「ねえねえ、初夢、どんなだった?」「夢とか何とか、言わないで! 元旦から失恋しちゃったんだから。甘い夢見てたの、ぜんぶおじゃんになっちゃったんだから。もう、夢の話、禁止!!」ということですか。

帽◎【評】夢の話というのは相手に強い興味がないと聞いてる側はおもしろくない、という話はよく聞く(私は嫌いじゃないけど)。〈夢の話禁止〉の句跨がりと下五字余り、そして季語だって甘やかさないぞという姿勢が好み。

鯖◯【評】きびしいなあ。別にいいじゃない話がつまんなくたってとオチのない話OK派なので思います。が初夢の話まで禁止されると面白い。

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68 初夢を身振り手振りで亀に説く 
<特選> 科,芽,彗 (6 点) <並選> 科科,芽芽,彗彗,妹,酒,林,甘,藤,重,光,飼,崖 (15 点)
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妹◯【評】亀と住んでるのか、亀と友達なのか。「夢におまえ出てきたんだよ」っていう説明してるのかもしれない。亀に伝わる身振りや手振りが存在しそう。でも亀、すぐ忘れそう。光景が絵で浮かんだ。

林◯【評】唐突に亀が出てきて笑ってしまった。家族には相手にされていない初夢の話。でも誰かに聞かせたい、という必死感。水槽の亀は「ナンダ??」と首を伸ばしてる。室内飼いの亀は冬眠不要だそうですね。

崖◯【評】無人島をを思い浮かべました。で、亀はガラパゴスにいるあれ。正月だけど、温かいイメージ

甘◯【評】すっごい面白い初夢をみたんだろうな。でも実家にも帰らず一人で迎えたお正月。聞いてくれる人はペットの亀しかいない。寂しい状況だけどその姿は可笑しい。本人も興奮してて寂しさの欠片も感じてなさそう

光◯【評】一人暮らしの部屋で、興奮気味に亀に初夢をまくしたてる姿がおかしい。犬でも猫でもなく亀という最も話が通じなさそうなものを選んでいるところに、オーバーじゃない寂しさがにじんでいて更によかった。

飼◯【評】亀に初夢の話を聞かせる初夢と読んだ。単純に面白い。

酒◯【評】なんでそんなことをしてるのか全くわからないが、めでたい。というか、強引に「何かめでたいことをしようとしている」感じ。それがバカでいい。だから飼い亀相手ではなくわざわざ説きに出かけているのであって欲しい。

藤◯【評】たぶんこの亀は生きてる亀じゃなくて鶴亀の意匠の亀だと思う。お箸袋とかポチ袋とか、あるいは新聞の広告とかチラシに印刷してある亀。鶴より亀のほうがたしかに話聞いてくれそうだし。

科◎【評】「初夢」と「亀」、どちらもめでたいものなのに、そのつながりを巧みに外して、「つきすぎ」を回避している。無反応な亀に対して一生懸命になってるというのも、ありえない光景なのにしっくりくる。

芽◎【評】とても良い夢を見て、それを言いたくて言いたくて!でも話し相手はペットのカメ。旗から見るとちょっと侘しいけれど、本人はとても満ち足りている感じがしました。着物ちゃんと着てそう。

崖 【評】終わりのない山手線。ぐるぐる回ることに向き合うと、それは恐怖を伴う。一種のゲシュタルト崩壊であろう。初夢であることが、ホラーのヒントたりえた逸品

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69 山手線どこで見たのだ初夢は 
<特選> 朧,は (4 点) <並選> 朧朧,はは,蓬,林,黄,幽,鶴,じ,飼,彗,巻 (13 点)
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蓬◯【評】新年会でお酒をつい過ごして、帰りの電車で寝入ってしまって、何周したんでしょうね、山手線。新年の季語はたいてい慎ましく清新な風景を思い起こさせますけど、こんなぐずぐずな正月だっていいじゃないか。

巻【評】初夢の定義は。2012年の暦なら月曜から火曜にかけて。山手線で眠り込んでいるうちに、そういうことになったのね。小学生みたいで好感が持てます。日付が変わったタイミングとかは厳密に知りたいよね。

林◯【評】忘年会で飲まされ、終夜運転の山手線で眠りこけて一周しつつ、朦朧と夢を見た。降りる駅でも何でもないところで目が覚めて、思わずこの自問。お疲れさまですと言いたい。よもや財布や携帯無くしていないだろうか。

黄◯【評】寒いホームから電車に乗り込むと安堵。普段は座る事のない電車もお正月は座れて。寝落ち。何周もしてしまったのでしょう。夢まで見て。でもお正月だから大丈夫。長閑かだなぁ。ハレの日の長閑かな情景好きです!

じ◯【評】初夢を見た場所が山手線ということに動揺して自分につっこんでる感じかな。一富士二鷹どころじゃなくて根本的な問題に戸惑っている。

朧◎【評】「はっ!」と寝て起きた臨場感。山手線は高校生の頃、一周1時間であることを利用して睡眠に利用していました(一人で年越しライブ行って、朝のラフォーレに行くまでの間に寝る)。この人もそうかな。

飼◯【評】やっちゃった感が初夢であるからより強調されている。この人、山手線を何周したんだろう。ひょっとして目覚めたのは車庫の中?

鶴◯【評】初夢は布団の中じゃないところで見るかもしれないんだ、とはっとなりました。なんとなくお行儀がいいような「初夢」という言葉をくずしてくれた心地よさ。山手線の大きな円のどこかに置いてきた初夢地点。好きです!

幽◯【評】眠りこけてるうちにいくつか見た夢で初夢を消費してしまった、という句だと思うますが、山手線全体にはたくさんの人が寝ていて初夢を取り合ってるみたいな、一階層上の論理を感じさせるところが好みで す。

崖 【評】終わりのない山手線。ぐるぐる回ることに向き合うと、それは恐怖を伴う。一種のゲシュタルト崩壊であろう。初夢であることが、ホラーのヒントたりえた逸品

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70 初夢はいつも正夢また眠る 
<特選> 黄,子,雪 (6 点) <並選> 黄黄,子子,雪雪,千,彗 (8 点)
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雪◎【評】すうっと意識が醒めて、どんな夢であっても(酷くても、有り得なくても、次に寝たら自分が死ぬ夢でも)それは現実となる、と受け入れてまた目を閉じる。静かに不条理で凄みがあって、それ自体が夢のような句。特選。

子◎【評】初夢を見て起きたら夢だった。また眠った。夢みた。起きた。まるでSFの時間のループみたいだなと思って不可思議さに◎

黄◎【評】毎年同じ夢をみるのだろうか?夢を見たけど二度寝してはっきりと覚えていないという夢。なのか、これから起こる現実を達観して眠るのか。「また眠る」が想像を掻き立ていい!ミステリアスで長閑かなお正月の情景。

千◯【評】また眠る、が一見呑気そうだけど、夢と現実の境界線が怪しくなっていく、実はものすごく怖い世界なのかも。合わせ鏡のような。

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71 初夢は一富士二鷹加藤鷹 
<特選> <並選> 少,助 (2 点)
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少◯【評】初夢に彼の姿が出てくることが、果たして縁起が良いのか悪いのか。しかし、これも正月の笑い話となるだろう、主に男子に。

崖 【評】投げやりである。だが、それがいい前田慶次風に)。宿題は俳句を作ることでした、みたいな無季俳句の前に俳人は無力である。ガンジー俳句という新しいジャンルの息吹を確かに感じた佳作

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72 すぐ聞かせたき初夢やまた眠る 
<特選> 藤 (2 点) <並選> 藤藤,蓬,朝,鯖,朧,寝,栗,凡,黒,炭,巻,助 (13 点)
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蓬◯【評】二度寝している方々が今回けっこういましたが、そのなかで一番味わい深い組み立てでした。「や」ですよ?前半と後半切れてますよ?と言われたって、聞かせたいんなら眠るなよ!とつっこまずにいられない。

巻◯【評】そばに恋人が横たわってい、室温と湿度がたもたれていて、ともにめざめたり、うとうとしたり──これは至福のバリエーション。切れ字の「や」が、中七のふとんの隅っこで頬を赤くしているような。

寝◯【評】ガバッと起きて、寝ぼけ眼で夢の内容を語り、すぐに布団を被って寝息をたてる人。「えっ?今のは寝言?なに?」と戸惑う相手。微笑ましいです。

栗◯【評】とても面白い初夢見たんだけど、寒くて二度寝。それで忘れちゃうんだな。初夢あるある。初夢や、を上五や下にしなかったとこに手練れた感あり。

黒◯【評】「何か」があった時に、すぐに聞かせたい相手がいるという状況に惹かれます。例えそれが初夢の話であっても。「すぐ聞かせたい」相手って言われるは幸せ者だなぁ。

鯖◯【評】初夢の内容自体には興味をそそられないのだけれどこのシチュエーションでの二度寝が気持ち良さそうでうらやましい。

凡◯【評】ある種の夢というものの特徴(すぐ聞かせたい)を素直に捕まえてる。二度寝俳句の中でも、もし漫画にしたらこれが最も絵が端正だ。つまり二度寝というものにある滑稽さが薄く、他にない個性になってる。

朧◯【評】夢を聞かせる相手が目の前にいるのはとても色気がある状態だ。同衾する相手の居ない状態が静かで、「また眠る」だけの言葉なのに夢の世界にそっと戻っていく感触も感じられ、綺麗。

藤◎【評】初夢を聞かせたい相手はさっきまで見てた初夢のなかにいるようですが、また眠って同じ夢にたどりつけるものだろうか。だいぶ切ない。まったくおめでたさがないところが新年早々とてもいいです。

炭◯【評】破調ですが、そのため目覚めたばかりの意識がはっきりしていない、リズム乗り切れていない感じ。すぐそばに「聞かせたき」相手が感じられますが、睡眠欲に負け、二度寝

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73 初夢に失せ物探す古機械 
<特選> <並選> 波,科,大 (3 点)
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波◯【評】意味が分からないと言えば分からないのだが、ドラえもん的な情景が浮かんだのだった。そういう道具があるんだろうと。失せ物、古機械という言葉が何かひきつけるものがあった。

科◯【評】初夢なのに、「新しいもの」じゃなくて「古いもの」「失われたもの」という方向へ持っていったのが上手い。SFっぽさもあって、その点も斬新だと思った。

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74 初夢の責任重く泣く枕 
<特選> 少,寝,珍 (6 点) <並選> 少少,寝寝,珍珍,C,地,炭 (9 点)
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少◎【評】良い夢を見るには、色々と仕込みが必要かもしれないが、最終的にその重荷を背負わされる存在。涙に濡れたのは、使用者の寝汗だったりするのだろうか。ともあれ、グッときた。

珍◎【評】初夢がハズレだった責任を枕に押しつけるのも、だけどその罰が「きっと反省して泣いているに違いない」と擬人化するに留めているのも、どう取ってもかわいい句。陰性なのも好みで、特選。来年もこの枕で年越すんだし。

C◯【評】この年に見た初夢が破れた夜を詠んだ句だと取った。あまりにハッピーな初夢で、正夢になる事を信じていたのに

寝◎【評】「人間はお正月になると、私の下に色々仕込んで、「頼んだぞ」ってパンパン叩くけど、私にはお正月なんて関係ないんですー。夜になったら頭の下でじっとする、それだけなんです…メソメソ。」枕ごめんよ。

地◯【評】寝さんの評を読んで「そっちかぁ」と思った句。わたしは「明日から大阪市長です」くらいの重要な任務を背負わされて、ギリギリと歯ぎしりしながら、起きてみたら涙で枕が濡れていたのだと思っていたのだけど。

炭◯【評】夢の主は「一富士二鷹三茄子」でも見たのでしょうか。起きるやいなや夢を伝えたくてテンション上がって寝室を出る主、取り残される枕。戸惑う枕には、布団に慰めてもらって欲しい。

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75 初夢の象の鼻こそ優しけれ 
<特選> 蓬 (2 点) <並選> 蓬蓬,妹,酒,波,黄,丼,雪,る,栗,鶴 (11 点)
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妹◯【評】「象」って「優しい」がほんとうによく似合う。そうか、しかも、目が優しいっていう見た目だけじゃなく、鼻で「優しくする」ことができるんだなあ。すごくしあわせな初夢だなあ。

蓬◎【評】係り結び! そうか、こういうふうに生きた形で使えるんだなーと感銘を受けて特選。富士や鷹に負けないくらいめでたい雰囲気も備えているし、器用な鼻でいろいろ面倒見てくれたなんて最高じゃないですか、象。

雪◯【評】象の鼻は、撫でるものとして優しくあってほしい。撫でる自分も優しくなれそうな気がする。そこに「初夢の」とついて、こそ〜けれ、で強められることで、少しの叶わなさが滲んで切ない。この句にも夢の手触りがある。

る◯【評】初夢でこういう夢を見る人は本当にやさしい人だと思う。象は瑞祥の動物。「〜こそ〜けれ」の係り結びが見事に決まっている。

丼◯【評】いかにも夢らしい点がまず高評価。子どもと動物園に行く約束があるのかな。象が鼻を伸ばして優しく触れあう、そんなことを語り合う親子の様子が見えてきました。

栗◯【評】きっとインドでは象の初夢は縁起がいいはず。お正月、の4番目の歌詞にしたいね。祝う今日こそ楽しけれーw

波◯【評】いろいろ初夢句に動物の句があった中では、これかなと。象の鼻が優しいっていう表現は素直でいて、確かにこちらもちょっといい気分になった。

黄◯【評】これは具体的に夢の内容にふれた句の中で一番引っ掛かった。私はお釈迦さまが浮かんで吉祥かと。春からこれは縁起がイイね!何度も読むと不思議と象じゃなきゃダメだ!と思えてくる。この温かな世界観は好きです!

酒◯【評】「夢の中の具体的な景を、正月らしいめでたさも忘れず、季重なりや類想を避けて詠む」事にトライしている句は贔屓したい。象が「大きい」。係り結びは「優しかったんだってば!」と力説しても周囲に伝わらない可笑しさか。

鶴◯【評】起きた時わかる、いい夢をみたんだという甘い気持ち。しっかり眠って身体は温かい。それが初夢ならなおさら幸せがひろがる。象の鼻は触覚にもうったえるようで、めでたさより、伸びをしたときのような充足感を感じた。

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76 はつ夢を語りし人の声の夢 
<特選> <並選> 帽,く,甘,芽,光,助 (6 点)
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甘◯【評】隣で先に起きた人は話したくて聞かせたくてしょうがないんだけど、それを相手にしたくない位眠い、でも黙れとも言わずに喋らせつつも自分の睡眠を貪る姿にこの二人の信頼関係が見える。同じ初夢見れるね

帽◯【評】〈語りし〉の持って行きかたは多少ぎこちないが、今回いくつかあった夢の入れ子構造の句のなかではこれが出色。声だけの夢ってのもあるよね。

光◯【評】声だけが印象に残っている夢、というのがなんとなく色っぽい。「はつ夢を語っている」夢という引っかけが最もスマートに見えた。

芽◯【評】以前初夢を語ってくれた人の懐かしい声、のする夢を見た、のが初夢。で、それも実は夢だったような気がする…。

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77 三なすび食べた初夢麻婆で 
<特選> 夕 (2 点) <並選> 夕夕,少,朧,は (5 点)
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少◯【評】順番では3番目、しかもマーボーって!それでも、見れたことには違いない。案外、満足の内容なのかも。

夕◎【評】起きた時、「よし。」ってなるな。「一応食べた。」結構おいしかったので(夢だけど)得した気分。

朧◯【評】一富士二鷹…を言った夢の中で、いちばん面白かった。「まーぼー」って音も間抜けだし、「ぬ〜ぼ〜」を連想するし(田代まさしも)、美味しいけど料理として気取ってないから好感しか生まれない。

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78 手を繋ぎ同じ初夢みに行こう 
<特選> <並選> 森,炭 (2 点)
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森◯【評】恋人って最初は対面して互いの姿を見てるんだけど、ある時から横並びになって同じ景色を見るようになるんだよね。夢にあなたを見るのでなく、あなたと同じ夢を見る。甘くて前向きなのが初夢らしいと思い選。

炭◯【評】あまい!あまいよ!メロメロだよ!逆に夢に落ち行く二人が強すぎて、逆に心中の様な危うさも感じるのですが、これは目覚める明日があるので、ほっとします。下五の「みに」のかな文字が良いですね。

崖 【評】甘くとろけるようだ。ロマンティストな私にとって、手をつなぐことは、そのまま連れ込み宿へと相手を誘うエピローグに向けた初手でもある。羨望と追憶の刺激。作者の方は短歌も上手いはず

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79 初夢と二度目の間毛布足す 
<特選> ち,甘,裏 (6 点) <並選> ちち,甘甘,裏裏,森,く,里,子,茅,ひ,鯖,丼,栗,黒,地 (17 点)
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森◯【評】そんなのアリなんだw と微笑ましくて選。二度目はもはや初夢じゃないけど、続きをぬくぬくぬけぬけと楽しむつもりなんだね。

く◯【評】初夢の内容じゃなくて、寝てるときの具体的な状況のことを言ってるのがおもしろいと思って選びました。見たばかりの夢を思い出す余裕もなく、とにかく寒いのだ。

甘◎【評】二度寝が出来る幸せよ!しかも毛布まで足しちゃってがっつり二度寝する気満々。お正月ののんびりした感じがよく現れてるし、毛布を足すことでいつもの自分の家じゃなくて寒い帰省先なんだろうなって分かる。

ひ◯【評】きっと、一日の夜と二日の夜との間の出来事。慌ただしさも落ち着いて、やっと自分の為に何かする余裕が出てきたのでしょう。毛布を足す瞬間の行為に、持続を感じました。

丼◯【評】初夢の外側を詠んだ句の中で一番良かった。寒くて目が醒めて思わず毛布を追加するというだけなのだが、きちっと言葉が収まっているところに生真面目さが浮かぶ。寒さが伝わってくる。

子◯【評】夜中に目が覚めたのは、きっと寒さのせいで、覚めてからまた眠るまでのその一瞬の感じが伝わってきた。

黒◯【評】最終的に、起きた時には初夢の内容を思い出せないパターンですね。寝ぼけて毛布を探しまわるところを想像すると楽しい。

鯖◯【評】羽毛布団の場合布団の上に毛布をかけるのがいいらしいです。それはさておき今年の初夢の中の下感がよく出てる。

茅◯【評】足首まで水に浸かっているとか、寒い夢をみたんでしょう。寝ぼけて毛布足すとぴしっと敷けないで布団の間で団子状にごろごろしちゃう、けどあったかくてうれしい寝床のだらしない感じも正月っぽいです。

地◯【評】寒さが伝わります。明け方は寒いからね。夢の最中に目が覚めた感じがするので、ばっちり内容を憶えているはず。でも寝る。悪い夢ではなかったのでしょう。

ち◎【評】初夢をそんなに重要視してなさそうなドライさが好みです。あー寒、起きてしまったじゃないか、とか言って毛布足してまた寝る。初夢?べつにー、みたいな感じ。

栗◯【評】大した初夢も見ないまま寒さで目が覚めたのか。二度寝。夢そのものではなく、そのときの温度を感じた。

里◯【評】二度寝シリーズの中で一番良かった。最初見た時「二度寝」じゃなくてなぜ「二度目」?って思ったけど、そうか、完全に起きた後の回想で、一回目も二回目も覚えているんだな。悪い夢ではなさそう。

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80 初夢の担当夢を発表します 
<特選> 鯖 (2 点) <並選> 鯖鯖,甘,碍,科,幽 (6 点)
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碍◯【評】初夢の担当というからには、他に「正夢の担当」「逆夢の担当」「悪夢の担当」「白昼夢の担当」「胡蝶の夢の担当」とかがいるのね。そんないろんな夢を発表する夢発表会。なんとも荒唐無稽で楽しそうです。

甘◯【評】色とりどりの妖精が集まって初夢会議をしているところを想像。夢がこういう風に決められてたらいいな、カワイイなと思って。えーっあたしこの人?とかって会話まで思い浮かんだ。

鯖◎【評】そういう恒例行事のある家ではなく天上界の初夢担当部署のこととして読んだ。「発表します」という口調の晴れがましさからおして結構花形の出世コースなのではないか。

科◯【評】初夢と普通の夢の違いってなんだろうと考えて、初夢は「どんな内容か」がひとつのイベントとして注目される、と気付いた(富士か鷹か、とか)。ファンタジックな句でありながら、その点をちゃんとふまえている。

幽◯【評】自分のなかの夢に対する空想を補強するような世界を提示してくれた句。そうそう、夢は人間のものではないんですよね。

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81 モノクロの初夢台詞僅かなり 
<特選> 朝 (2 点) <並選> 朝朝,屁,碍,少,雪,白,光,地,珍,知,大,巻 (13 点)
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少◯【評】夢というと、モノクロらしいが、僕にはカラーのイメージしかない。と、なれば、これは夢のなかで、サイレント映画を観てるのではないか、年末年始、深夜映画の影響かもしれないね。

雪◯【評】古い洋画を観ている格好良さ。映像にもノイズが入って、切なげな表情の美男美女が、映画史に残る台詞を語る。スクリーンの下に白い手書き文字で訳。でも起きて思い出したら全然筋が通ってない。翻訳は戸田奈津子

珍◯【評】モノクロならば台詞は少ないほうがいい、と捉えるこの御仁、「初夢どうだった?」と問われれば「よかった」と答えるのでしょう。「今年はいいことありそう」とか言って。夢から覚めたあとも役者になりきってそう。

巻◯【評】クラシカルなシネマのような十七文字の佇まいに、居住まいを正したい。恋はいつでも初舞台、という古い流行歌のことも意識にのぼる(稽古不足を幕は待たないらしい)。

碍◯【評】たとえば、初夢がいきなりハードボイルド。立てるコートの衿。女の細い首。ギムレットにはまだ早すぎるぜ。そんな初夢なのかも‥‥、というのを「モノクロ」「台詞僅か」で想像させるところがうまい。

白◯【評】サイレント映画風だったのかな。初夢側に、なんかごまかされてない? なんて思いました。

知◯【評】わたしの夢はカラーばかりなのだけれど、モノクロなら確かにセリフが少なそう。モノクロの古い映画を想像させる。

光◯【評】台詞が「ない」のではなくて「少ない」ということは、きっと印象的な台詞があったのだろう。しかもモノクロ。情報の幅が限定されているという表現が、夢の内容を妄想させるようでずるい。

地◯【評】もう完全に舞台は港。私のモノクロ映画知識が少なすぎるのだけど、トレンチコートの男とスカーフを巻いた女。ぼそぼそ話している。作者は男女どっちなのだろう?ロマンチックな夢です。

屁◯【評】この初夢はきっと、今年これからを予見するものではなくて、過去に視線を向けたもの。句から想起させられるイメージが端正で、映画のよう。「台詞」「僅か」が仮名だったら、印象はもっと変わったか。

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82 初夢を見てないからとまた眠る 
<特選> <並選> 屁,ひ,藤,夕 (4 点)
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ひ◯【評】これは大人の言い訳…普段の規則正しさへの後ろめたさを初夢に隠してる。疲れているのか、それとも二度寝そのものを楽しんでいるのか。でも初夢は見ないままなんだろうな。

夕【評】見てない事を言い訳に二度寝。もしかしたら見るまで起きないという初夢ガッツもあるのかもしれない。

屁◯【評】そういや、子供の頃「初夢」ってことばを知った後のはじめての正月、まさにこの句のとおりだったなあと。結局見られたのか憶えてないけど。

藤◯【評】おぼえてないだけですよーと起こされても根気強く寝る。初夢は、覚えたまま起きるまでが初夢です。

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83 今日の日に見れば初夢見ねば夢 
<特選> 栗 (2 点) <並選> 栗栗,甘 (3 点)
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甘◯【評】初夢を楽しみにしてたのは小さい頃迄で今は気にしなくなちゃったなぁと今回「初夢」のお題が出た時に感じた事で、それを上手く言い表してるなって思って。ただの夢なんだけどそれを楽しみにしていた頃が懐かしい

栗◎【評】どことなく、源氏物語の一節のよう。夢の儚さをきれいにすくい取っていて、特選に。あさき夢みし。

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84 初夢や小吉くらゐの夢をみる 
<特選> <並選> 波,C,白,鶴,大 (5 点)
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C◯【評】程よいですね。程よい事やどうでも良い事をあえて口に出す。良くあると思います。人の営みを感じます。『サザエさん』の波平氏が詠みそう

白◯【評】「夢をみる」のところは他に変えられそうな気もしましたが、初夢もおみくじも、正月の占いつながりで、福袋的な感じがしたので。

波◯【評】地味〜な、地味〜な句だが、その地味さが結果的に小吉くらゐのサイズでこころに残った。「ゐ」で「みる」なのが利いているのかな。

鶴◯【評】ちいさな幸せこそ最強の幸せ、と思わせてくれる句。お正月って確かに小吉の感じが似合いますよね。

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85 おじさんの地味な初夢ちゃんこ鍋 
<特選> <並選> 妹,鶴,夕,炭,崖 (5 点)
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妹◯【評】起きてしばらく、夢かどうか判然としないような夢だったんだろうな。でも地味なりに、たぶんすごーく美味しかったんだと思う。おじさんが、ひとりでちゃんこ作って、ひとりで食べる夢ならなお、地味でいいな。

崖◯【評】おじさんが良い意味でいい加減で、この句会にあるとなお映えますね。リズムも良いです。

夕◯【評】この人絶対いい人だ。黙々とちゃんこを食べる夢。(おいしさかみしめながら)地味だけど寝ざめはきっといい気分だったと思う。そしてまた穏やかで淡々と一年過ごすんだろうな。

炭◯【評】親戚の子に初夢報告して、馬鹿にされてるんだろうな。でも普通の鍋じゃなくて、「ちゃんこ鍋」というところが嬉しくて、おじさんは言ったんだろう。いいおじさんだ。

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86 初夢の顛末知らぬ大晦日 
<特選> <並選> く,朝,光 (3 点)
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く◯【評】なんか大騒動な初夢だったのだな。初夢の句なのに、大晦日に遡ってておもしろい。顛末、って言ってるところを見ると、夢だけにとどまらず、現実世界でも大変なことになってるっぽいな(どんな夢だったの)。

光◯【評】何も知らずに蕎麦を食べたり紅白を観たりしている大晦日の自分が憎らしくなるほどの初夢ってどんな夢よ!? と思わずくいついてしまった。己への「忌々しさ」を感じさせる句が意外で面白かった。

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87 初夢の茄子を焼きつけぢゅっと吸う 
<特選> 光 (2 点) <並選> 光光,屁,子,茅,る,重,地,飼,夕,大,崖 (12 点)
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崖◯【評】特選候補でした。擬音の使い方って難しいんですが、これは見事と思いました。体感できる句です。でも夢なんですよね。そのの構成がよかった。特選候補でした。

る◯【評】「ぢゅっと」がたまらん。美味しそう。「夢で見た」というより、夢の中に出てきた縁起物の茄子をこれ幸いと美味しく料理した、という感じの言い方が自由でいい。

子◯【評】「ぢゅっ」と「吸う」のがまさに茄子。皮のかたさと身の柔らかさと水分の多さが「吸う」に表れている。茄子を思い描いただけで初夢に見るほど茄子好きな人かもしれない。

茅◯【評】確かに、一富士二鷹三茄子ってどうやって夢に出てくるかといえば、茄子なら食べますよね。茄子なんだから。そのことが新鮮でした。あと焼き茄子食べたくなったので。

夕◯【評】その「ぢゅっ」はきっと甘美な味だったんだろうな。まずかったと考えても面白いけど。灰汁味の初夢罰ゲーム。でもぢゅわーっとおいしくあってほしい。

光◎【評】縁起物をぺろっと食べてしまう潔さと、焼いてとろけた茄子を「ぢゅっ」と吸う臨場感が大好き。焼き茄子喰いたい。

地◯【評】やっぱり「ぢゅっ」にグッときました。とりあえずおいしそうなのと、縁起物の使い方が上手だなと思ったので選びました。

飼◯【評】なんておいしそうな焼き茄子!"ぢゅっと"という擬音の使い方が上手いなぁ。でもこの茄子食べちゃっていいのか。

屁◯【評】何よりも「ぢゅっ」って擬音がチャーミング。あと「焼つけ」も「吸う」も、初夢の一段上に置かれた感じをぶっ潰しにかかっているようでよかったです。

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88 初夢の散らかった部屋に漂へり 
<特選> <並選> 酒,じ,千 (3 点)
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じ◯【評】お正月に元旦から遊びつくしてコタツで寝てしまってる子供たち。各々が夢を見ているのだろう。でもそれはみんなが初夢なのだ。

酒◯【評】散らかった部屋に初夢が漂っているととった(でもどっちにも読めちゃうね)。退廃男の一抹の春。上京した純くんか。幻想だが、生活が見える事でぎりぎりポエムにならずに済んでいる。中七が拙いのがかえって良いのかも

千◯【評】夢から目覚めたばかりで、今はまだ寝ぼけた状態なんだと解釈しました。散らかった、というあらわし方が見事。部屋自体はシンプルなイメージ。

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89 初夢を見たという夢いま何時 
<特選> <並選> 子,朧,栗,黒,彗 (5 点)
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子◯【評】初夢かと思ってみたがまだ1日だったというようなおかしさを感じた

黒◯【評】寝正月は時間の感覚があいまいです。食べて寝て起きての繰り返しの中で「初夢を見る」ことは一大イベントだから、時計を意識するのはこの時ぐらいかも。夢が入れ子になっているところが好きです。

朧◯【評】初夢に期待しすぎの子供の頃を思い出しました。夢にまで見た初夢…(うっとり)って!でも「いま何時」で、我にかえってる感じもあり。自分ツッコミのようで好きです。

栗◯【評】夢のなかで夢を見て、目覚めたと思ったらまだ夢の続き。本当に目覚めたときには、寝過ごしてあわててる。夢うつつから一気に落ちる感じがいい。

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90 初夢で旧友たちがみな同窓 
<特選> <並選> る (1 点)
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る◯【評】よく見ますこういう夢。全然出会ったところの違う人々が皆中学校で同級生になっている夢。見ながら半分さめた意識で「脳っていい加減だなー」と気づいてもいる、そんな夢。

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91 初夢やつつじの蜜を吸うており 
<特選> 白 (2 点) <並選> 白白,く,ち,里,丼,雪,幽,C,凡,知 (11 点)
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雪◯【評】つつじは春から夏の花、本当は冬には合わないけれど、夢に見たのならその遠さが「ある」と思った。つつじの蜜の甘さは微かで、夢と同じに、あるとないの境に近い。夢では味は感じず、起きて反芻したのなら官能的。

白◎【評】荘子胡蝶の夢、そのまま、とも思いましたが、夢の夢らしさ、覚めた今との差、が一番感じられたので。

く◯【評】なんかぽわーんとノスタルジックな気持ちになった。詳しい内容は覚えてないみたいだけど、きっといい夢だったんだろうな。吸うて「おり」で、終わったことなのにまだ蜜の味が続いているみたいな感覚が残る。

C◯【評】特選にするか迷った句。上手く評することができないので並選。(つまり感覚で取った)ビジュアルが抜群に綺麗。誰が詠んだかで味わいも大きく変わる。縁起の良い夢よりも、このような夢をみたい

丼◯【評】「をり」かな、と思いつつも選。「胡蝶の夢」人が蝶の夢を見てるのか蝶が人の夢を見てるのか、を思い出しました。現実のあやふやさとか、そんなことを考えていられるのも正月ならでは。

知◯【評】子供の頃、小学校の帰りにつつじの蜜って甘いんだよと、友達に教えてもらってお菓子より美味しくはないけれどなんだか楽しくて吸っていたことを思い出しました。大人が吸うとちょっと色っぽい。

凡◯【評】題が難しいともちろん作句に苦闘するが、苦闘の痕跡を感じさせない句がたまにあって、大勢の苦闘まみれの中に混じるせいで浮上してくる。やや素直すぎるけど、かわいさでなく奇麗さで○。

ち◯【評】やさしいようなエロティックなような、柔らかさのある句だと思います。初夢とつつじの季節がぜんぜんちがうのも、夢の感覚を増幅させているように思えました。

幽◯【評】夢は見る人に関係なくその辺に浮遊しててそれを捕まえた人がその夢を見るんですよ。現実にオーバーレイした夢たちが飛び交う世界で、たしかに初夢は季違いなんて気にもせずに蜜を吸っていそうな気がします。

里◯【評】蝶々になって蜜を吸う夢を想像しました。初夢の内容シリーズでは一番好き。でも蜜を吸うのはやっぱり人かも、と思ったらちょっとキザっぽく感じたので、並選になっちゃいました。

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92 初夢の報告はまだパンか餅 
<特選> 酒 (2 点) <並選> 酒酒,蓬,黄,白,黒,飼,珍 (8 点)
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蓬◯【評】初夢の題でここまできれいに切ることができるんだなあと選びました。一月二日の朝、早くも餅に飽きたメンバーがいる食卓。食べるものは違っても初夢の話で盛り上がる(予定の)仲のよさがうらやましい感じ。

珍◯【評】正直、解釈は絞れなかったのだけど、句の形がカッコいいのと内容の落差に惹かれるところがあって○。とくに誰からも初夢の報告がないまま松の内が明けちゃった、というところかな。パンか餅だけの朝食で。

白◯【評】ずっと一緒にすごしてきた二人。きょうはもしかしたら餅に飽きてパンかも。でもその前にぜったい夢の話する、ってわかってる。

黒◯【評】いかにも世の中のお母さんが言いそう!いや、もしかしたら実際に言われたことがあったかもしれない。仲良し家族の平和な正月という感じがして○。

黄◯【評】アッケラカンと詠まれた何でもない風景。好きです!オーブンでチンして食べる。お正月だって、ただの一日と認識させてくれます。旅行したり、故郷に帰ったりしなければそこにあるのは365日のうちのただの一日

酒◎【評】元日から昼ごろに起きて、パン食(と餅が並列のチョイス)、あらたまった会話のない二人。こののどかさと怠惰さ、適度な甘さ(静かなイチャイチャ感)は、初期(?)長嶋句の感じそのものでは。特選が僕一人でびっくり。

飼◯【評】家族はまだ夢の中、一人起き出して遅い朝食の用意。おせちは昨日食べたし、パンか餅を適当に焼いて。黄さんが書かれている通り、正月とはいえ同じ一日が描かれていて好感を持った。

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93 Tシャツの島人居たり初夢か 
<特選> <並選> 
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94 初夢の中では降りた駅を過ぐ 
<特選> 好,く,林,丼,凡,巻 (12 点) <並選> 好好,くく,林林,丼丼,凡凡,巻巻,帽,森,蓬,黄,茅,碍,鯖,鶴,千,珍,崖 (23 点)
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森◯【評】夢の中では降りた駅を今現実では過ぎたのか、それとも現実では降りた駅を今夢の中では過ぎたのか、どっちだろう。後者だと、しがらみを振り払って未知の世界へと向かう期待や畏れや後ろめたさが出てて良いと思った。

蓬◯【評】仕事が始まって、あっというまに終わった正月休みを通勤電車で思い返すうちに、ちょうど初夢で降りた駅にさしかかる。実際には一度も降りたことがないから、たぶん夢で降り立った町はどこにもない町。

好◎【評】夢と現実のあわいにいるウィアードな感じが、淡々と叙述されていて感銘を受けました。この静かな怖さは何なのだろう。攝津幸彦の句みたい。

く◎【評】いつも通過するだけで降りたことのない駅だったのでは。きっと、このひとはこれからもこの駅で降りることはない。でも通り過ぎるたびに、夢のことを思い出すんだと思う。

巻◎【評】なんと、初夢のなかでは各停の駅で降りていた! そしてそこでなに(かよからぬこと)を。しかしそのあたりの消息は、遠近法で遠ざけて。砂を噛むような灰色の現実にきりきりと焦点をあてて。打たれました。

碍◯【評】きれいな句。通勤電車の途中の駅で降りた初夢は、その先、もうドキドキのすごい展開だったのね。でも、休み明け、その駅に着いたとき、僕は降りることができなかった。平凡な日常を選んでしまった‥‥。

林◎【評】本当はそこに訪ねたい人がいる、または行きたい場所があるのに、いつも降りあぐねている駅。夢の自分の背中を見送りつつ、普段通りその駅を通過してゆく年始の通勤電車に揺られている。夢と日常との仄寂しい乖離。

崖◯【評】巧いなあ。「では」を入れる勇気も凄いし、成立させる力も凄い。ちなみに、私の悪夢はこれが多い。起きると怖くもなんともないけど。

帽◯【評】ひょっとしたら現実では一生降りないかもしれない通過駅というものがだれの人生にもたくさんある。でも無理に降りてみても夢のなかの町にはたどりつかない。大好きだが句末の文語体がやや浮いているので特選ならず。

丼◎【評】現実では降りたこともない駅で降りた夢。人には言い難い夢を胸に抱きつつも、出勤でその駅を通過する。そのif…の感じがとても良かった。すぐに特選つけました。

鯖◯【評】降りちゃいなよと言いたくなるが自分でも降りないな。たかが初夢だからな。初出勤お疲れ様です。

黄◯【評】これは上手い句だと思った。読後スッとその仕掛けが入ってくる。夢の中で何故降りたのか。何故今は通り過ぎるのか。ここでの解釈は幾つもできるだろう。平凡な日常がまた始まっていくのだろうか

凡◎【評】初夢の中身自体を説明した句と初夢は初夢としてその他を描いた句があり、どちらにも少しの物足りなさがあった(お題が難度高し)。これは前者と後者ともに豊かに両立し得たほぼ唯一の成功例で白眉。

鶴◯【評】こういう駅にはたいてい降りない。でも、なぜかとても後ろ髪をひかれるような気持ちになる。去っていくホームまで浮かびました。初夢が生活にほんのり違和感をもたらすものとして描かれているのもどきっとしました。

千◯【評】初夢と現実の交差が見事。さまざまな物語や背景を喚起させられる。

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95 初夢に去年の始末書顔浮かび 
<特選> <並選> は,じ,飼 (3 点)
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じ◯【評】初っ端からなんという一撃。それも去年のことの夢だなんて。と同情してしまいました。同情句(なんだそりゃ)。

飼◯【評】いやそんなもんだ。一富士二鷹三茄子なんて見たことない。でもやっぱり気になる。よりによって初夢で。へこんでいるであろう姿がおかしかったので。

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96 初夢やオランダ南部の舟動く 
<特選> 助 (2 点) <並選> 助助,酒,波,茅,科,幽 (7 点)
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波◯【評】夢の内容をストレートに詠むのは、すでに色々な初夢の句がある以上、難しいと思ったが、これは確かに意味はないが新しい夢だな、と思った。

茅◯【評】かっこいい。眠りのイメージと舟がゆっくり動いていく不安定さが合っていると思いました。

酒◯【評】75の評に書いた理由でこれも贔屓。棒のように読みたい。中七が特にいい。夢って、オランダ南部がどういう風景かもよく知らないのに「ここはオランダ南部だ」と確信したりする。ロッテルダムの、とかだとこうはいかない

幽◯【評】ぼくはこれはオランダの初夢を見たのではなく、なんか別の初夢をみたらオランダ南部の船がうごいた、というふうに取りました。バタフライ効果。もちろん夢を見た当人は気づいてないし、オランダ人も気づいてない。

科◯【評】動いている舟に注目するのと、それがオランダ南部だ、という広い視野の両立ができるのは、確かに夢の中ならではの感覚だと思った。「オランダ南部」「舟」という言葉も、のどかさとかっこよさがあって良い。

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97 初夢になすびが踊ってぼちぼちか 
<特選> <並選> 知 (1 点)
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知◯【評】夢になすびはなかなか出てこないし、なすびが踊っていたら相当めでたい夢ですね。ぼちぼちどころではないですが、なすびが踊っているところを想像しておかしかったので。

崖 【評】なすびが躍るという奇想に驚いた。そして、センスを感じる。題の解釈にも、知性とユーモアを見出す。その上で、この句だけは苦言を呈したい。ぼちぼちとい座五は考えることを放棄したように見えた。

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98 元気よく返事したのが初夢か 
<特選> 千 (2 点) <並選> 千千,森,林,朧,雪,寝,芽,凡,黒,じ,夕,珍,知 (14 点)
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森◯【評】はいっ、と言う自分の声で目覚めたことがある。起立、という声で目覚めたこともある。それで選。

雪◯【評】寝てる人を見てる句、と読みました。子どもかも。眠りを見守ってたら、ハイッとか寝言で言ってる。人の夢は見ることのできないものなのに、ひょんな感じで初夢に触れてしまった。それを、なんか得した、と思う愛情。

珍◯【評】大晦日に夜更かしを許された子が正月の昼すぎまで寝ていて、突然寝言で「はーい!」と。どんな夢を見たのか、あとで聞いてみようかしらとお母さん。子どもはすっかり忘れていて、初夢、不成立!

林◯【評】「うぅ、ムニャムニャ……はいっ」という自分の寝言で目が覚めて、…ん、今のが初夢? 何の夢だったんだ? と寝ぼけつつ首をかしげてる感じ。自分でもよくわかんないまま初夢終了。夢ってそんなものですよね…

じ◯【評】起立しながら満面の笑みでビシッっと手をあげる。縁起がいいのか悪いのか、とても困惑している様子の男性を思い浮かべます。

寝◯【評】それはそれは良い返事だったんでしょう。自分の声で目が覚めて、びっくりして夢の内容はすっかり忘れてしまった。わかります。子どもでもかわいいけど、いい歳した大人であって欲しいです。

黒◯【評】どんな質問に対して元気よく返事をしたんだろう。そういえば、大人になると元気よく返事する機会も少なくなりますね。せめて夢の中の質問には元気に「はいっ!」と答えたいものです。

凡◯【評】初夢らしくないけど、初夢も夢だから、実はこんなことはあり得る。初夢の名句を網羅的に把握してないけど、新規の発想で作ろうという挑戦心もあるように思えて。

夕◯【評】「…っはいっ!!」ビックーーーンってなって起きた1月2日の朝。寝汗もかいてそう。その割には何の返事か皆目分からず。起き上がってぽかーんとしてる所まで浮かびます。

朧◯【評】現では元気ない人なんだろうか。あきらめのため息まで聞こえるようだ。

千◎【評】光景を想像しておもしろくなった。本人が返事をしたのだと思っていたけれど、他の人が返事しているのを見ている可能性もあるのか、と気づかされた。

芽◯【評】 はい!って言っちゃったんでしょうね…、本当に声に出たか判らないけど、それで置きたってことは…。辺りを見回して照れてる感じがします。でも、夢の内容は忘れちゃったのですね。

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99 初夢を宴に浮かれうっちゃって 
<特選> <並選>
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100 初夢や致死量12ミリグラム 
<特選> C,地 (4 点) <並選> CC,地地,帽,好,る,は,知,助 (10 点)
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好◯【評】初夢の中で劇薬が出てきたのかな。12ミリグラムという数値が妙にリアルですね。

C◎【評】実はこちらも意味は良く分からない。カッコ良かったのです。『ミリグラム』って文字も音もカッコ良いマジックワードだと思うのですが、同意はいりません。句全体も文字と音、両方カッコイイ

る◯【評】カッコいい。「致死量12ミリグラム」なのはやっぱり夢そのものがいいな。アンプルかなんかに入っていて、寝ている男に注射すると初夢から永遠に目覚めてこない。暗殺者は「よい夢を!」と言って去る。

帽◯【評】切れ字の前後の関係が不明な句。数字なんで12だろうが15だろうが20だろうが102だろうがOKなのが弱点だけど、酔生夢死という言葉がちらついたので好きだった。

知◯【評】殺し屋になった夢か、恋人か連れ合いをじゃまに思っていて適量を夢で教えてもらったか。いろいろ想像してしまいます。後者だったら怖い。

地◎【評】Cさんと同じく、とにかくカッコ良かったのと強い印象に負けて特選。起き上がって、すごい寝汗で「12ミリグラムか…」とか言ってそう。

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101 初夢とあたしどっちがだいじなの 
<特選> じ (2 点) <並選> じじ,森,妹,ち,ひ,碍,少,藤,千,裏 (11 点)
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森◯【評】〇〇とあたしどっちがだいじなの、ってたぶん何に対しても言うんだよね。紅白とあたし、おせちとあたし、部屋とYシャツとあたし。でも、初夢がいっとう愚かで恐ろしくていいね。

少◯【評】彼(?)はきっと、初夢はどうでも良くて、寝たいだけなのかも。でも相手はそれを許さない。ちょっと、エロスも感じるよね。

妹◯【評】「まだ寝ないで」っていう可愛いおねだりだと解釈しつつ、敢えて、ただのめんどくさい女と、ただ眠いだけの男って読みたい。過去に散々「仕事とあたし」等を経て、ついに「初夢とあたし」。次何と比べんの?

碍◯【評】えー、これは、なんというか、姫始めというか、そういった方面のシチュエーションでしょうね。「もうっ、初夢見るために早く寝たいとか、ありえないから!」とか何とか、そんな感じ。口語体が効いてます。

じ◎【評】冗談半分のセリフっぽさがいい。たぶん、こういうよくわからないセリフをはくのが好きなんだろうと思うし、そういう人が好きです。センスの際立ちが無いのがちょうどいい。

ひ◯【評】もう寝ちゃうの?か、まだ寝てるの!か…どっちにしろ幸せな情景。しかし彼女はドライブ中に寝てしまうに違いない。

ち◯【評】お正月に彼氏と二人で過ごしているなんて!そんなこと寺の娘である私はしたことがありません!ケンカして正月早々別れておしまい!とジェラス。という反応をしてしまうほどリアル感満点の句です。

千◯【評】よくある言い回しに、初夢、を入れたところがすごいと思う。なさそうだけど、ありそう。いなさそうだけど、いそう。

藤◯【評】休み明けに久しぶりに会えたのに初夢のはなしばっかりする友達以上恋人未満の彼……。えーと、ちょっといなかの方の高校生で自転車二人乗りとかしてるといいなあと思います。

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102 初夢がこたつの中で丸くなる 
<特選> ひ,碍,大 (6 点) <並選> ひひ,碍碍,大大,屁,珍 (8 点)
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珍◯【評】猫だって初夢を見るよ、ということかな。ちょっとあざといニャーと思いつつも、「こたつ」や「丸くなる」の語感にほだされて。腹いっぱい食べてこたつで温まる猫は宇宙イチの幸福者

碍◎【評】初夢は猫である!という真実を喝破した句。いわれてみれば初夢って、なかなか思い通りにならないところとか、とらえどころのないところとか、猫っぽい。それなら、初夢がこたつの中で丸くなっていてもいい。

ひ◎【評】僕は猫ではなく、大切な誰かへの視線を想像しました。こたつの中で丸くなるという幸福を見守る視点が優しい。風邪ひかない様に布団に運んであげないと!

屁◯【評】こんど猫飼ったら、初夢って名前つけてもいいなと思った。

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【なんでしょう句会 「初夢」評】togetterまとめ
 http://togetter.com/li/238762
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